コラム

力の誇示を控えてきたインドに変化...国民は自信を強め、「大国」への野心を見せ始めた

2022年10月11日(火)12時27分

インドという国家の在り方も変わりつつあるのかもしれない。旧宗主国イギリスは、インド人が自国の統治を受け入れる限り、彼らがどんな宗教を信じようとほとんど気にしなかった。独立後のインドで長らく政権の座にあった国民会議派は、あらゆる宗教を受け入れる世俗国家を目指した。

だが14年以降、モディ政権とBJPはヒンドゥー至上主義的な政策を何度か打ち出している(インドの人口はヒンドゥー教徒80%、イスラム教徒14%)。これらの政策は議論を呼んだが、モディは有権者の67%から支持されている。

私は首相の占星術師と会った経験がある。うっかり聖なる牛のふんを踏んでしまったこともある。だが同時に、インドの急速な近代化も目の当たりにした。私が話をした経営者や科学者は、今後数十年以内にインドは世界有数の大国になると確信していた。

死と再生を無限に繰り返す輪廻を説くヒンドゥー教の教えは正しいのかもしれない。だが今のところ、インドは成長と国力上昇が加速するサイクルにいる。

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グレン・カール

GLENN CARLE 元CIA諜報員。約20年間にわたり世界各地での諜報・工作活動に関わり、後に米国家情報会議情報分析次官として米政府のテロ分析責任者を務めた

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