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パスタな国の人々

宮本さやか|イタリア

世界垂涎のピエモンテ産白トリュフの季節。日本人唯一のトリュフハンター・富松さんの苦悩

本当の持続可能性という意味

富松さんのこの言葉は、常々私が疑問に感じていた疑問にヒットした。誰もが、何でも、大量に食べられるようにと、食材の本来の姿や性質を無視して生産量を増やす。例えば肉であれば自然の状態でゆっくり育てていては時間がかかりすぎる(つまり価格が高くなる、利益が薄くなる)。だから、成長促進剤や抗生物質を家畜に投与し、不自然な形でもっと早く、もっと大きく、と飼育する。トリュフであれば、本来土の中で起きるはずの育成サイクルを無視して乱獲してしまう。お客様のご要望に応えてといいながら、実はビジネス、利益ばかりが重視され、最終的には消費者の健康は損なわれ、食材そのものも生産地も枯渇してしまうということだ。クオリティも下がるから、なんだ、たいしたことないな、とそっぽを向かれてしまう。

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"カルド"という特産の野菜にフォンデュソースをかけ、白トリュフを添えた一皿。チーズもトリュフととても相性がいい。(2017年著者撮影)


持続可能性という言葉が当たり前に使われるようになって久しいが、一つの食材を、一つの文化を、100年前も100年先も同じように慈しみ、大切に味わっていくこと、味わえる状態を維持すること。それが持続可能性の本当の意味ではないだろうか。私たちが自分勝手な消費者である限り、自分勝手な商業至上主義者である限り、その言葉は虚しい流行語として消え去ってしまう。「安い!」「こんなものが日本で!!」と飛びつく前に、一呼吸置いて考えてみたらどうだろう。その食材はなぜ、どのようにしてここへやってきたのかどうかを。

 

Profile

著者プロフィール
宮本さやか

1996年よりイタリア・トリノ在住フードライター・料理家。イタリアと日本の食を取り巻く情報や文化を、「普通の人」の視点から発信。ブログ「ピエモンテのしあわせマダミン2」でのコロナ現地ルポは大好評を博した。現在は同ブログにて「トリノよいとこ一度はおいで」など連載中。

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