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日本人コーヒー生産者が語るコロンビア

松尾彩香|コロンビア

ベネズエラ人難民に滞在許可証を発行。コロンビア人たちの反応は?

iStock-mennovandijk

現在コロンビアの隣国ベネズエラは、ハイパーインフレによって経済が完全に崩壊している状態にあります。安定した生活を送れなくなったベネズエラ人たちが今、次々と祖国を追われて国外に渡っています。

カバンひとつで川を渡るなどして国境をまたいで来た違法移民も少なくはなく、コロンビア移民局によると現在コロンビアに滞在している173万人のベネズエラ人の中で、96万6千人ものベネズエラ人が入国手続きをしておらず身分証明書を保持していない移民だと言われています。正式な書類を持っていない彼らはちゃんとした仕事に就くことが難しい為、コロンビアの道端にはたくさんのベネズエラ人が飴などを売り歩いている姿を目にします。

そんな中、今月8日にコロンビアのイヴァン・ドゥケ大統領とUNHCR(国連難民高等弁務官)のフィリッポ・グランディ氏はこれらの難民に対して10年間有効の滞在許可証を発行することを発表しました。この許可証を保持していれば、他の移民同様に医療サービスを受けたり合法に働くことが可能で、子供には教育を受けさせることができるようになります。更に10年後にそのビザは居住ビザに変更することができるという事で、グランディ氏は「全世界で前例のない規模の人道的ジェスチャーだ」とドゥケ大統領を祝福しました。

 

ベネズエラ人差別とヘイト

以前からコロンビアではベネズエラ人差別が問題視されていました。

ベネズエラ人が仕事を奪っている、ベネズエラ人がコロンビアの犯罪率を上げている、などベネズエラ人を一括りにし批判する声は残念ながらよく聞かれます。

去年10月には、首都ボゴタのとある公道をベネズエラ人通行禁止にしているという動画を市民がツイッター上に投稿し炎上する出来事がありました。

更にボゴタのクラウディア・ロペス市長はボゴタの犯罪とベネズエラの移民問題を結びつけるような発言をしたことも国内で大きなニュースなり、SNSのコメント欄は移民を受け入れる派と受け入れない派の議論の場となりました。

実際に一部のコロンビア人が言うようにベネズエラ人が犯罪率を上げているかと言うとそのようなデータは一切なく、ヘイトからきたデマだと言うことがわかります。

また、今回のニュースにも「来年の大統領選挙で票を稼ぎたいからだろう」と言う批判がよく眼につきましたが、この許可証を保持しても当然のことながら投票権はありません。

 

歓迎の声

コロンビアが内戦で苦しんでいる時代、ベネズエラはコロンビアからの移民を大勢受け入れたという過去があります。「あの時の恩があるから」「隣人を助けたい」そう言った想いから多くのコロンビア人が大統領のこの決断を支持しています。

許可証があればちゃんとした仕事に就くことができるので、路頭に迷うベネズエラ人も減ってくるでしょう。生き延びるために盗みをはたらく人も減るかもしれません。働く移民が増えればその分税収も増えるはずです。かなり大胆な政策ではありますが、プラスになることもたくさんあるようです。

そしてコロンビアコーヒー生産者連合会(FNC)の代表であるロベルト・ベレス氏はツイッターで「このニュースはコロンビア農家にとって嬉しいニュースである」と投稿しました。

コーヒーの生産量がどんどん増えている一方で、収穫をしてくれるコーヒーピッカー(期間労働者)の確保に毎年苦戦しているコーヒー産業。去年のピッカーの多くがベネズエラ人だったという噂も聞きました。ピッカーの仕事をするにはFNCで登録作業をする必要があります。許可証を与えることによってより多くのベネズエラ人がピッカー登録をすることができるようになり、コロンビアのコーヒー産業を支える縁の下の力持ちとなってくれることが期待されています。

Profile

著者プロフィール
松尾彩香

コーヒー農家を営む元OL。コーヒーを栽培する一方で、コーヒー農家の貧困や後継者不足問題、コロンビアでの生活についてSNSを通じて発信。朝の一杯のコーヒーに潜む裏話から、日本ではあまり報じられないコロンビアの情勢まで幅広くお伝えします。

ブログ: http://campesinita.com

Twitter: @maon_maon_maon

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