コラム

イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた「復讐の技術」とは

2025年08月07日(木)18時36分
石野シャハラン(異文化コミュニケーションアドバイザー)

一般的に日本人は、感情をあらわにしない。原爆資料館で大泣きするイラン人と比べると、日本人は怒っても悲しんでも無表情に見えて何を考えているのか分かりづらい。こんなひどい原爆攻撃を受けても、テロなどではやり返さなかった日本人は、無表情にクールに、技術力と製品力で完璧にアメリカに復讐した。

原爆を落とされ、国土をめちゃめちゃにされて敗戦して、それでも焼け野原から技術力で復興し、ついには世界を征服した。東芝、日立、トヨタ、ソニーなど一時期は世界のどこに行っても、イランでさえも、優れた製品は全て日本製だった。これをイラン人は、さすが日本人だと褒めるのである。

実際に高度成長期から世界中に進出したこれら大企業の創業者たちが、アメリカへの復讐心を胸に秘めて起業したのかどうかは分からない。しかし、戦後日本の貧しさや、それに対する欧米の豊かさに、なにくそ! 負けるものか! と反骨の気概を持って努力したことは確かだろう。


それに比べて、「失われた30年」を経て、日本人はずいぶんおとなしくなってしまった。と同時に、原爆の悲惨さと敗戦後の貧しさを振り返ることもなくなり、自省もなく、先人に学ぶこともなく、ビジョンも価値基準もあやふやだ。

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