コラム

韓国スタートアップが日本へ続々進出... 官民挙げて商機を狙う背景は

2025年07月29日(火)12時10分
カン・ハンナ(歌人、タレント、国際文化研究者)

そして、日本政府がスタートアップを積極的に支援する姿勢も挙げられる。2022年11月に「スタートアップ育成5か年計画」を発表し、投資拡大や事業創出に力を入れている。民間レベルでも、日本のスタートアップが韓国人を役員や社員に迎えてグローバル化を推進したり、M&Aで事業拡大を図ったりするケースも見受けられる。

AI半導体分野でアジア有数の韓国ユニコーン企業「リベリオン」は今年2月に東京法人を設立。急成長中のデータセンター市場で需要の取り込みを図る。「ドクターナウ」はスマートフォンで診察予約から処方薬の配送まで完結できるサービスを提供。高齢化などで高まる非対面診療の需要を狙う。ITを駆使して、半導体や医療といった時代のニーズを捉えた事業展開が目立つ。


韓国で日本市場に目を向けているのは、企業だけにとどまらない。韓国政府は昨年5月に「K-スタートアップセンター東京」を開設し、韓国スタートアップの日本市場でのシェア拡大に向けて、資金調達やネットワーク構築を積極的に支援し始めた。開設から8カ月で参加企業17社のうち9社が法人設立を完了し、一部は東京都の補助金を獲得するなど、着々と足場を固める。韓国中小ベンチャー企業振興公団と、日韓のベンチャーキャピタルが約30億円規模のファンドを組成し、官民の連携が深化中だ。

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