コラム

韓国スタートアップが日本へ続々進出... 官民挙げて商機を狙う背景は

2025年07月29日(火)12時10分
カン・ハンナ(歌人、タレント、国際文化研究者)

IMTMPHOTO/SHUTTERSTOCK

<韓国が官民を挙げて注力するスタートアップの日本進出。ビザの要件緩和も追い風に日韓のビジネス交流は今後も拡大するだろう>

先日、東京都渋谷区が運用する起業支援オフィスにて、女性起業家たちを前に講演を行った。起業の理由や事業推進の心構えなどについて語ったが、1つ驚いたことがある。参加者の多くが日本で起業を準備している外国人たちだったのだ。

その中で、AI(人工知能)を生かしたビジネスモデルを計画している韓国人チームに会うことができた。彼らは韓国よりも日本の市場にポテンシャルを感じるとともに、今年1月から日本全国で利用可能になった「スタートアップビザ」の存在が決断を後押ししたと語ってくれた。


スタートアップビザは、外国人が日本での会社設立に必要な経営・管理ビザを取得する前の段階で、起業準備活動を最長2年間認める。経営・管理ビザは取得までのハードルが高い。そもそも取得後でないと起業できず、私の周囲には起業を諦めた人が何人もいた。スタートアップビザによって起業のハードルが下がり、日本がチャレンジの場になっていることは歓迎したい。

近年、韓国は国を挙げてスタートアップの支援体制を強化。海外進出にも注力し、市場も着実に成長中で、日本進出を果たした企業も確実に増えている。国内ではなく、日本に魅力を感じる理由は複数挙げられる。

まず日本は世界第4位の経済大国で、対外直接投資信頼ランキングでアジア1位を誇っている。グローバル市場を目指す韓国スタートアップとしては、日本は文化や生活などでも似ており、安定した環境と言える。少子高齢化が進む日本で需要が高まる医療福祉をはじめ、生成AIや半導体、モビリティーなどの分野においてはIT活用がカギを握る。ITは韓国企業の強みであり、需要と供給がマッチしていることも大きい。

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