突出した知的能力や創造性を持つ「ギフテッド」を埋没させるな

子どもの才能を埋没させないために IMTMPHOTO/SHUTTERSTOCK
<ギフテッドとは突出した知的能力や創造性を持つ性質だが、日本では検査で認められても特別支援教室での対応や加速学習の個別カリキュラムの提供はごく一部にとどまっている>
小学生の保護者である知人から相談された。「うちの子、ギフテッドかも」「なんでそう思う?」「だって、同級生より数段難しい本を好んで読んで、その内容を大人と話したがってる」「へー」「それに、学校の授業が退屈で、自分で先取り学習をする」
ギフテッドとは突出した知的能力や創造性を持つ性質で、そうである者はIQが高かったり(目安は130以上)、特定分野に優れた才能を持ったりする。日本では一般的に、小学生がそうであるかを確かめようと思うと、民間の認知能力検査を受ける。ギフテッドであることが検査で認められても、学校の特別支援教室での対応や加速学習の個別カリキュラムの提供はごく一部。地域によっては特別教育プログラムが用意されている(東京では東京大学先端科学技術研究センターの「LEARN」プロジェクトが有名)。知人の子は検査を受けていない。主な問題は費用の壁だ(検査は数万円かかることがある)。
アメリカで育った私は、小3のときに2つの知的能力検査を学校で経験した(60年代の話だ)。1つは日本人が小6で受ける全国学力テストに匹敵するスタンフォード・ビネーテスト。もう1つはオーティス検査。後者はIQを測る要素も含まれる。テストの結果、先生からギフテッド小学校への転校を勧められた。が、そこでわが家も壁にぶつかった。転校先が遠く、教育費がけっこうかかるから、結局両親はその提案を見送った。検査自体は無料でも、才能開発プログラムの費用が高額だと、経済的余裕のない家庭は次の段階に進めなくなる。
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