コラム

温泉じゃなく銭湯! 外国人も魅了する銭湯という日本の極楽

2024年04月11日(木)11時40分
周来友(しゅう・らいゆう)(経営者、ジャーナリスト)

もちろん私も、日本で銭湯がどんどん減っている現状は知っている。風呂なし物件は今や探すほうが難しく、銭湯の公共的な意義は薄れている。サウナがいまブームらしいが、その流れで「町の銭湯」が増えることもなさそうだ。法律で入浴料金が統制されている一般公衆浴場の数は、ここ30年で4分の1程度にまで減少しているという。私自身、30年ぶりに銭湯の魅力を「再発見」した身なので大きなことは言えないが、なんとも寂しい限りだ。

だが、銭湯復活の希望はあるかもしれない。日本は温泉大国で、外国人も日本各地で温泉を楽しんでいるのは皆さんもご存じだろう。その昔、訪日する中国人観光客の三大定番は「富士山、温泉、雪見」とも言われていた。私自身も温泉が大好きで、草津温泉から別府温泉まで各地の温泉を訪れている。

だが実を言うと、外国人が楽しんでいるのは温泉だけでない。町の銭湯にも外国人はやって来ているのだ。

欧米人から韓国人、台湾人まで、私も銭湯で多くの外国人を目にしてきた。今回は東京観光だけで温泉地に行けないからという理由の人もいるだろうし、民泊の小さなシャワーではリラックスできないという人もいるだろう。タトゥーがあるから温泉には入れないが、銭湯にはタトゥーOKな所もあるので経験してみたい──そんな人もいるかもしれない。

日本文化の1つとして外国人からも関心を集めつつある銭湯だが、もしも彼ら旅行者も私と同じように「地元民との交流」を楽しむことができたら......。それこそが温泉とは違った銭湯の魅力、そして銭湯復活のカギになるかもしれない。

Zhou_Profile.jpg周 来友
ZHOU LAIYOU
1963年中国浙江省生まれ。87年に来日し、日本で大学院を修了。通訳、翻訳、コーディネーターの派遣会社を経営する傍ら、ジャーナリスト、タレントとしても活動している。

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