お金を配っても止まらない少子化──問題は「子育ての楽しさ」をメディアが報じないこと
ただ、フランス社会が子供や子育て中の人に対して、日本よりすごく優しいと私は思わない。それでも深刻な少子化につながっていないのは、おそらくフランス人は日本人より楽に子育てをして、周りの目を気にしないからかもしれない。
また、日本で子供を持つなら必ず「夫婦」の子供であるべきとされる。夫婦でない場合は、さらに厳しい目で見られる。
欧米諸国ではいいかどうかは別にして、子育てをしたい人は結婚していても、いなくても区別されない。女性1人で育てても問題はない。つまり人生の選択肢が日本よりもより広い。
日本のマスコミにも責任があると思う。子育ての幸せなところよりもつらい経験や、いじめ、児童虐待など暗い問題についての記事のほうがはるかに多い。
逆に、大人の旅行、夫婦2人でレストランに行くこと、お一人様の優遇サービスなどは楽しそうに報じられる。子育てのポジティブな面をもっと取り上げるべきだろう。
西村カリン
KARYN NISHIMURA
1970年フランス生まれ。パリ第8大学で学び、ラジオ局などを経て1997年に来日。AFP通信東京特派員となり、現在はフリージャーナリストとして活動。著書に『不便でも気にしないフランス人、便利なのに不安な日本人』など。Twitter:@karyn_nishi
2024年4月23日号(4月16日発売)は「老人極貧社会 韓国」特集。老人貧困率は先進国最悪。過酷バイトに食料配給……繫栄から取り残され困窮する高齢者は日本の未来の姿
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