コラム

赤ちゃん遺棄の女性だけ「犯罪者扱い」で実名報道され、なぜ社会や男性の責任が問われないのか?

2025年08月26日(火)18時31分
西村カリン(ジャーナリスト)

孤立出産し赤ちゃんを殺してしまう女性は社会の「被害者」ではないか(写真はイメージです) Aslysun-shutterstock

<孤立出産し赤ちゃんを遺棄してしまう女性を「犯罪者」として報じるのではなく、絶望的選択をせざるを得なかった彼女たちを支援することが必要だ>

8月中旬に報道されたニュースを読んで涙が出た。「大阪の公園で赤ちゃんの遺体が見つかった事件で、23歳の母親が遺体を遺棄した疑いで逮捕された」という内容だった。

少なくとも年に1、2回は似たような報道があるが、私は毎回、涙を流して受け止めるしかない。自宅や公園のトイレなどで独りで赤ちゃんを産んだ女性が逮捕されるのはいいことなのか、疑問に思う。


病院以外の場所で孤立出産する女性たちが、その状況を自ら選んだとは言えないだろう。やむを得ない選択で、それは誰の責任なのか? 本人だけではなく社会の責任もあると思う。

彼女たちは加害者というより、社会の被害者として扱われるべきだと私は強く思う。だから一般的な事件と同じように報じることには、とても違和感を覚える。

こうした状況は日本に限らず、フランスでも同じだ。彼女たち自身のことや、彼女たちの人生の歩みを何も知らないマスコミが「悪魔のような犯罪者」として描くことには本当に腹が立つ。

彼女たちをほぼ犯人のように扱うのは、人間味のない報道の仕方だと思うからだ。本人の名前や、警察のリークに基づいて逮捕後の本人の発言をそのまま報じてしまうのもひどい。

プロフィール

外国人リレーコラム

・石野シャハラン(異文化コミュニケーションアドバイザー)
・西村カリン(ジャーナリスト)
・周 来友(ジャーナリスト・タレント)
・李 娜兀(国際交流コーディネーター・通訳)
・トニー・ラズロ(ジャーナリスト)
・ティムラズ・レジャバ(駐日ジョージア大使)

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

インド・カルナータカ州、16歳未満のソーシャルメデ

ワールド

イスラエル、イラン首都に大規模攻撃 イランはテルア

ビジネス

ECB、次回会合で政策金利変更しない見込み=スペイ

ワールド

中国、ファイザーのGLP─1薬を肥満治療向けに承認
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプのイラン攻撃
特集:トランプのイラン攻撃
2026年3月10日号(3/ 3発売)

核開発の断念を迫るトランプ政権が攻撃を開始。イランとアメリカの本格戦争は始まるのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで続くのか
  • 2
    中国はイランを見捨てた? イランの「同盟国」だったはずの中国が、不気味なまでに静かな理由
  • 3
    「え、履いてない?」モルディブ行きの飛行機で撮影された、パイロットの「まさかの姿」にSNS爆笑
  • 4
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 5
    「ハリポタ俳優で終わりたくない」...ハリー・メリン…
  • 6
    対イラン攻撃に巻き込まれ、湾岸諸国が存立危機
  • 7
    「巨大な水柱に飲み込まれる...」米海軍がインド洋で…
  • 8
    「イランはどこ?」2000人のアメリカ人が指差した場…
  • 9
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「旅客数が多い空港」ランキン…
  • 1
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 2
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズった理由
  • 3
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 4
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 7
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医…
  • 8
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 9
    少子化に悩む韓国で出生率回復...昨年過去最大の伸び…
  • 10
    「死体を運んでる...」Google Earthで表示される「不…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 9
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story