コラム

赤ちゃん遺棄の女性だけ「犯罪者扱い」で実名報道され、なぜ社会や男性の責任が問われないのか?

2025年08月26日(火)18時31分
西村カリン(ジャーナリスト)

自分が産んだ赤ちゃんの遺体を遺棄することがいかにつらい経験であるか、記者は想像しているのか。

そうした行為をしてしまう女性がどれほど絶望的な状況に陥ったかを考えることが必要だし、そんな悲しい事件を起こした女性への理解が必要だ。


多くの場合、彼女たちは未成年か20代だ。その行為を許すという意味ではなく、原因を解明した上で刑事責任があるかを慎重に考え、必要な精神的支援を提供するべきだろう。

ちなみに筆者の母国であるフランスでも、自宅で産んだ赤ちゃんを放置した疑いで女性が逮捕された事例がある。パニックで一時的に冷静な判断ができなかったなどの理由で、裁判では刑事責任が認められなかったケースもある。

どんな女性であっても、よほどの混乱がなければ自分の赤ちゃんを殺すことなどできない。過去の非常につらい経験やトラウマが背景にあるはずだ。

21世紀に、先進国のフランスや日本で女性が公園や自宅で子供を独りで産むという状況はあまりに異常だし、大きな社会問題と言わざるを得ない。

プロフィール

外国人リレーコラム

・石野シャハラン(異文化コミュニケーションアドバイザー)
・西村カリン(ジャーナリスト)
・周 来友(ジャーナリスト・タレント)
・李 娜兀(国際交流コーディネーター・通訳)
・トニー・ラズロ(ジャーナリスト)
・ティムラズ・レジャバ(駐日ジョージア大使)

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イスラエル中銀、インフレ鈍化で2年ぶり利下げ 緩や

ワールド

ブラジル中銀総裁、インフレ目標に向けた進展状況に依

ワールド

米政権、ミャンマー人の保護資格を終了 安全に帰国で

ビジネス

日経平均は反発で寄り付く、米株高の流れ引き継ぐ ハ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 2
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネディの孫」の出馬にSNS熱狂、「顔以外も完璧」との声
  • 3
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後悔しない人生後半のマネープラン
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    「搭乗禁止にすべき」 後ろの席の乗客が行った「あり…
  • 8
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 9
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 10
    「イラつく」「飛び降りたくなる」遅延する飛行機、…
  • 1
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 2
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 3
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 4
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 5
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 6
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 7
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 8
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 9
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 10
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story