悪質な客も神様か?──クレーマーをのさばらせる「お客様は神様」と礼儀
アプリ上でカスハラがいつ発生するかと言えば、それは取引が終わった後。つまり、買い手が他のユーザーの参考になるよう売り手に評価を付ける場面。
僕は今までに100点以上の物を販売し、ほとんどは「良い」評価を付けてもらっているけれど、2件だけ「悪い」評価が付いてしまった。適切な評価であれば仕方がないが、どちらも、こちらが値切り交渉に応じなかったことに対する報復、「嫌がらせ評価」なのだ。
不当に低い評価が付いた経緯をアプリのサポートに説明し、消すように要求しても、結構な確率で対応してもらえない。公平性を期すために消さないポリシーということらしいが、これも客(=買い手)の言動をなんでも受け入れようとする「お客様は神様」文化の影響に思える。
一方、アメリカのフリマアプリ「eベイ」では、悪質なクレーマーが一定数存在することを前提に、売り手を守るポリシーを定めている。
カスハラ対策が求められている今、日本人の美徳とされる「礼儀」について、あるべき姿を考え直す良い機会じゃないかな。1899年に出版された新渡戸稲造の『武士道』にはこう書かれている。「礼(儀)は他を思いやる心が外へ表れたものでなければならない」(岬龍一郎訳)
「他を思いやる心が外へ表れたもの」というのだから、新渡戸がいま生きていたらきっと、嫌な態度の客を神様として扱うことを称賛したりはしないだろう。そして、客と働く人の双方が互いを思いやることが大前提となるはずだ。一人一人の日本人にも、日本の企業にも、新渡戸が説いた「礼儀」が今こそ必要だ。
トニー・ラズロ
TONY LÁSZLÓ
1960年、米ニュージャージー州生まれ。1985年から日本を拠点にジャーナリスト、講師として活動。コミックエッセー『ダーリンは外国人』(小栗左多里&トニー・ラズロ)の主人公。
アマゾンに飛びます
2025年12月9日号(12月2日発売)は「日本時代劇の挑戦」特集。『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』 ……世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』/岡田准一 ロングインタビュー
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら
高市首相「台湾有事」発言の重大さを分かってほしい 2025.12.03
文化の「魔改造」が得意な日本人は、外国人問題を乗り越えられる 2025.11.13
外国人投資家の不動産爆買いに迷惑しているのは日本人だけではない 2025.10.23
報じられなかった中国人の「美談」 2025.10.22
ニッポン停滞の証か...トヨタの賭ける「未来」が関心呼ばない訳 2025.10.17
日本人のスマホ依存症を減らすには、国や自治体が介入して規制すべき? 2025.10.08
「お茶を一服いかがでしょうか?」...飲み物に畏敬の念を込める日本とジョージアの共通点 2025.10.03
-
人事マネージャー候補/外資系大手オンラインメディア企業
株式会社クリーク・アンド・リバー社
- 東京都
- 年収750万円~950万円
- 正社員
-
プロダクトエンジニア「ポテンシャル採用/大手や外資系など3000社に導入/HR SaaS「ミキワメ」/web系SE・PG/港区虎ノ門/東京都
株式会社リーディングマーク
- 東京都
- 年収400万円~550万円
- 正社員
-
外資系企業の「労務スタッフ」土日祝休/フレックス/リモートOK
VISTRA Japan株式会社
- 東京都
- 月給30万円~45万8,000円
- 正社員
-
「ITサポート」外資系企業のIT課題を解決
シスアミック株式会社
- 東京都
- 月給25万円~50万円
- 正社員






