コラム

ワクチンには色んな国で色んな考えがあるが、僕はなるべく早く打ちたい

2021年06月30日(水)20時24分
トニー・ラズロ
新型コロナウイルスワクチン(イメージ画像)

MORSA IMAGES/GETTY IMAGES

<60歳のアメリカ人筆者にもやっと新宿区からワクチン接種券が届いたが、予約はなかなか大変で......>

日本を含めて多くの国では、新型コロナウイルスに対する予防接種ができるようになってきた。「やっと、う......うれしい!」。

でも打つのを拒む人もいる。なぜ懐疑心を持っているのか、理由は人によってさまざまだが、アメリカにいる身内や知り合いからは「有効性を信じていない」「そもそも感染を心配していない」「政府を信用していない」という話が耳に入る。当分見送るという日本人の友達は、副反応の可能性を心配している。

それでも接種を受けている人は受けている。アメリカでは12歳以上なら、近所の薬局に入っただけで打ってもらえるそうだ。

また、ドイツのベルリンで教師をしている40代の友達は、最近2回目の接種を終えたと言う。ちょっと変わったことに、1回目はアストラゼネカ、2回目はモデルナだったそうだ。「私、アストラ・デルナ」と本人はプチ・ジョークを飛ばしている。

なぜ異なる製薬会社に? ベルリンは、教育機関や医療機関のスタッフを対象に今年春頃からアストラゼネカのワクチン接種を行っていた。しかし、接種後に血栓ができる複数の例が報告されたため、ドイツはアストラゼネカ製の使用を見合わせることにした。

僕の友達は停止前にアストラゼネカのワクチンを受け、国がモデルナに乗り換えた後に2回目を受けたという理由で、2種類のワクチンが体内で混在することになったそうだ。

早く自由になりたい

僕はなるべく早く打ってもらいたい派。まず集団免疫に貢献したいからだ。例えばポリオと同じく、ウイルスが人から人へ飛んでうつることができなくなる社会がすぐ形成されたほうがいいと思う。

また、自己中心的な理由に思われるかもしれないが、早く自由になりたい。好きな人と好きな場所で──もしかしてマスクを外して──普通に会合できる日が待ち切れない。

そう願って待っていると、ほぼ高齢者の僕(60歳)にも接種券が新宿区役所から届いた。「やっと、う......うれしい!」。

でも、予約がスムーズに進むとは限らない。区からの資料を元に「かかりつけの患者だけでなく、誰でも予約できる」という近くの病院に電話をしてみた。人が出ないので、ふらりと行ってみると、「うちはかかりつけの患者だけ」と告げられた。

「区の資料と話が違うじゃないか!」などと乱暴な言い方は決してせず、おとなしく引き下がってもう1つの病院に電話をかけた。「接種を行うのは今から1カ月くらい先になる。今日は45人分の整理券を配る。1時間以上前から既に並んでいる人がいる」という情報を得た。

また、数日前からこの病院に人が殺到していることも知った。それもあって、その日でもって当分の間予約を休止するという。

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