イランと日本の意外な共通点──隣国との協力があってこそ今後も発展が続く
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<「アラブ諸国とまとめて中東」と呼ばれたくないイランと、UAE、サウジアラビアとの関係は、日中韓のそれと似ている>
早いもので3月も後半である。2020年は本当に時事ネタには困らない。中東情勢、イギリスのEU離脱、そして新型コロナウイルス......。国内外の重要な選挙もたくさん控えている。毎日ニュースが読み切れない。
今回は時事ネタや日本への苦言・提言・文句を一度忘れて、私の2つの祖国であるイランと日本の似ている点を紹介したい。
本誌の読者は博識な人が多いと思う。だから、「イラン」のイメージを聞かれて、砂漠やラクダがいっぱいのアラビアンナイトを思い浮かべる人はいないだろう(イランにはまだ日本に忍者がいると思っている人はゼロではない)。
イランは、中東で屈指の経済力と素晴らしい歴史・文明を持つ国だ。とても広い国土を有し、北部は日本の東北地方に似た気候で、冬には雪が降る。しかもしっかり積もる。本当に東北地方に雰囲気がそっくりだ。イランに行くならぜひ北部に寄ってほしい。
言語は主にペルシャ語。イスラム教がイランに入ってくるずっとずっと以前からある言葉だ。ペルシャ語とアラビア語は文字こそ共通しているが、互いの意思疎通は難しい。同じ漢字を使うのに、日本人と中国人が互いの話を分からないのと同じだ。
イラン人は自尊心が強いので、近くの国と一緒にされたくない。イラン人はアラブ人ではなくペルシャ人であるということに強い誇りを持っている。そこには紀元前3000年から続く歴史、さらにアケメネス朝キュロス大王・ダレイオス大王の末裔だという自負がある。だからイラン人はアラブ人と一緒にされることを嫌がるし、「アラブ諸国とまとめて中東」と呼ばれることにも、正直抵抗を感じている。ペルシャ湾をアラビア湾と呼ばれると「違う!」となる。
そういった周辺国との関係が私は日本と似ていると思う。イラン、アラブ首長国連邦(UAE)、サウジアラビアの3国は、それぞれ日本と韓国と中国の関係にとても近い。
数千年前までさかのぼると、日本と周辺国との関係同様、占領したりされたりの歴史があり、恨みつらみはもちろんある。現代における3国間の関係は、日中韓の関係に緊張感も似ていて面白い。
イランは1979年のイスラム革命まで親米・親英国家として大いに発展した。直接投資に支えられ、高層ビルや高速道路が次々と建設され、教育水準も上がり、中東随一の繁栄を極めた。君主は周辺国に多大な援助を行った。エリザベス・テイラーやアラン・ドロン、高倉健ら有名人もイランを訪問した。そして現在は核開発問題と経済制裁で苦境にある。UAEはイランのこの苦境をチャンスに変えた。一昔前は小さな漁村だったドバイは今や金融の一大拠点になった。私は日本が韓国にITで出遅れたのと同じ雰囲気を感じている。
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