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「日本は世界のセールスマン」「日本株式会社」──米誌が見た奇跡の成長とその先【note限定公開記事】

Salesman to the World

2025年8月9日(土)08時00分
ニューズウィーク日本版編集部
Eric Lafforgue / Hans Lucas via Reuters Connect

Eric Lafforgue / Hans Lucas via Reuters Connect

<戦後20数年で世界第2位の経済に駆け上がった日本。国民・企業が一体の「日本株式会社」と揶揄された>

1970年の大阪万博は日本の高度成長を象徴するイベントだった。日本は68年、世界第2位の経済となり、敗戦の焼け野原から「奇跡の復興」を遂げていた。70年3月9日号の本誌米国版は、「日本は世界のセールスマン」という特集で、日本の経済力の根源を探った。その急速な経済成長に「ライジング・サン(昇る太陽)」と賛辞を贈ったが、まだそれがアメリカの脅威とは見なしていなかった。

「世界の商人」としての地位

元駐日米大使のエドウィン・ライシャワーはこう語る。「皮肉なことに、日本は戦争ではできなかったことを、われわれの援助と平和的手段によって成し遂げた。日本はグローバル経済の国だ」。日本人自身も、トップを目指す使命感を抱いている。佐藤栄作首相は2月、70年代は「日本の国力が世界情勢においてかつてないほど大きな影響力を持つ時代」になると述べた。

そして来週、開幕する大阪万博にも、この使命感は漂っている。23億ドル規模のこの万博は、世界の人々を呼び寄せ、日本人もまた自分たちが世界の頂点を目指していることを自覚するのに十分なシンボルだ。

もちろん、日本が世界の大国としてアメリカやロシアを追い抜くには、まだ長い道のりがある。しかし、日本は既に長い道のりを歩んできた。もはや当たり前で感覚が麻痺しているが、奇跡的な経済成長だった。45年の敗戦という惨劇から、日本経済はフランス、イギリス、ドイツを追い抜き、68年には自由主義陣営で第2位の規模となり、国民総生産(GNP)1670億ドル(アメリカは9320億ドル)に達した。驚くべきことに、日本の貯蓄率は約17%(アメリカは6%)に上り、過去10年間で平均16%の経済成長に貢献した。

現代の経済に必要な多くの資源を欠きながらも、日本は工業強国となるため「世界の商人」としての地位を築いた。原材料を買い入れ、製品として売る。絶え間ない、そして利益を生む循環でだ。今では、日本人は世界中に進出している。オーストリアでは折り畳みスキーを、パレスチナのゲリラには砂漠仕様車を、デトロイトでは3000万ドル相当の発電機を販売している。

日本人がイギリスの産炭地ニューカッスルで石炭を売っても、もはや誰も驚かない。ドイツではカメラや光学機器を販売し、アメリカではオフィス機器メーカーに4万台の卓上電卓を販売する。日本の政府関係者は、昨年の輸出入総額は310億ドルで、68年より20%増加したと自信を持って見積もっている。貿易収支は10億ドルの黒字になる見込みだ。そして、円は今や世界でも有数の強い通貨となっている。

「ライジング・サン」を見よ

こうした状況に対し、日本の西側の競争相手は少なからず不安を抱いている。「アメリカの目を覚まさせろ」と、インドネシア・ジャカルタ在住の米石油企業幹部はうなる。「そして『ライジング・サン』を見ろ」と。一部の反発は日本のビジネス手法に向けられている。

それは、かつてのような「安物の模倣品」に対する古典的な非難ではなく、むしろ日本での外国人ビジネスマンの処遇が日本人と比べて不利であることや、交渉のやり方に対する怒りである。しかし根本的には、この反応は日本が新たに得た国家的な力と威信をどう使うかへの不安の表れでもある。

ほんの1世代前、日本は軍事力を持ち、好戦的な姿勢で「大東亜共栄圏」の支配を目指し、世界に大きな混乱を引き起こした。その振り子は再び軍国主義へと振れるのか? ライシャワーは、そうはならないと考えているが、ある程度の再軍備は避けられないように見える。いずれにせよ、日本の経済力は、今後その外交的な発言力が確実に大きくなることを保証している。では、日本はどうやってこの経済的奇跡を成し遂げたのだろうか。

※本文中のファクトは本誌米国版に記事が掲載された当時のままとしています。

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【note限定公開記事】「日本は世界のセールスマン」「日本株式会社」──米誌が見た奇跡の成長とその先


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