最新記事
民主主義

他国の追従を許さない、「シャープパワー強国」2カ国...その異なる特徴から分かること

2025年8月7日(木)16時45分
水村太紀(国際協力銀行〔JBIC〕調査部 調査役)

中国型のシャープパワー

中国型のシャープパワーの根底には、「中国共産党による統治の正統性維持」という政策的意図が存在する。この目的の下、中国は国際世論を自国に有利な方向に導くため、多層的な影響力工作を展開していると指摘されている。

例えば、新疆ウイグル自治区での人権侵害に関する国際社会からの批判を回避すべく、外国人記者やインフルエンサーを現地に招き、「幸せなウイグル人」と題する動画や記事を発信させてきた。こうした対外広報は、中国国営メディアにとどまらず、YouTubeなどのグローバル・プラットフォームを通じ、世界中に拡散されている。

中国共産党が「核心的利益の中の核心」とみなす台湾問題においても、中国系のアクターは、台湾の国連や国際機関への関与を強く牽制してきた。その根拠として、中国がメディアやSNSなどを通じた対外発信で頻繁に持ち出しているのが、1971年の国連総会第2758号決議(注:いわゆる「アルバニア決議」。「中華民国」が国連から脱退する契機となった)である。

だが、この決議は国連における「中国の代表権」を「中華人民共和国」に移すことを定めたものであり、台湾そのものの政治的地位や国際機関への参加可否について触れたものではないというのが、欧米諸国で広く受け入れられている見方である。2024年にはカート・キャンベル米国務副長官(当時)も、下院外交委員会の公聴会で、中国が同決議を曲解しているとの立場を示している。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

中国、英アストラゼネカ元幹部を起訴 24年に当局が

ワールド

モデルナ製インフルエンザワクチン審査拒否を正当化=

ビジネス

市場との対話方針変わらず、ガードは下げてない=為替

ビジネス

国内企業物価、1月は前年比2.3%上昇 銅など非鉄
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:習近平独裁の未来
特集:習近平独裁の未来
2026年2月17日号(2/10発売)

軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トランプには追い風
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 5
    一体なぜ? 中国でハリー・ポッターの「あの悪役」が…
  • 6
    【銘柄】「ソニーグループ」の株価が上がらない...業…
  • 7
    【独自取材】「氷上のシルクロード」を目指す中国、…
  • 8
    あなたの隣に「軍事用ヒト型ロボット」が来る日
  • 9
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 10
    まさに「灯台下暗し」...九州大学の研究チームが「大…
  • 1
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた実験室」に...抗生物質の「不都合」な真実とは
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 5
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予…
  • 6
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 7
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 8
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 9
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 10
    【銘柄】「ソニーグループ」の株価が上がらない...業…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 4
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 5
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 8
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中