最新記事
独裁者

政敵排除や選挙結果操作...欧州の隣でやりたい放題の「独裁者」を、EUやアメリカが支持する理由

2025年7月18日(金)13時50分
シナン・ジディ、タイラー・ステイプルトン

若くてカリスマ性のある市長も逮捕...

とはいえ、人気の凋落は独裁者が選挙に負ける理由にならない。23年間にわたって権力の座にあるエルドアンが、なりふり構わず非民主的手法に頼ったとしても、驚くべきことではない。

エルドアンはCHPに本格的に対抗する機会すら与えていない。3月19日、イスタンブール市長であるCHPのエクレム・イマモールは、根拠の薄い汚職容疑で逮捕・収監された。イマモールは2023年以来、大統領選の最有力候補とされ、エルドアンが最も恐れる存在だ。若く、カリスマ性があり、2019年以降、イスタンブール市長選で3度の勝利を収めている。


このイマモールの拘束により、エルドアンが司法に圧力をかけ、有力な政敵をあらかじめ拘束しようとしていることが明らかになった。このような動きは「有能であること」が脅威とみなされるロシアの体制を彷彿させる。

弾圧はイマモールの逮捕にとどまらない。エルドアンは2024年の地方選でCHPを勝利に導いた同党党首のオズギュル・オゼルを排除し、2023年の選挙をはじめ、エルドアンに何度も敗北した前党首のケマル・クルチダルオールを復帰させようとしている。

7月5日には、CHP所属のアダナ、アドゥヤマン、アンタルヤの各市長が汚職容疑で逮捕された。だがイマモールの件と同様、これらの容疑にも確たる証拠はなく、CHPを無力化するための措置と思われる。

他にも、与党AKPが6月にCHP所属議員135人のうち61人の議員特権剥奪を求める動議を国会に提出していたことも報じられている。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

暫定停戦は可能でない、現行の停戦交渉で合意未達なら

ワールド

トランプ氏、全EU製品に15─20の最低関税課す構

ワールド

米大統領が要請なら、FRB議長職引き受けへ 現時点

ワールド

イスラエル首相、ローマ教皇と電話会談 ガザの教会攻
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは「ゆったり系」がトレンドに
  • 3
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 4
    「どの面下げて...?」ディズニーランドで遊ぶバンス…
  • 5
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 6
    「二次制裁」措置により「ロシアと取引継続なら大打…
  • 7
    「異常な出生率...」先進国なのになぜ? イスラエル…
  • 8
    アフリカ出身のフランス人歌手「アヤ・ナカムラ」が…
  • 9
    「想像を絶する」現場から救出された164匹のシュナウ…
  • 10
    セーターから自動車まで「すべての業界」に影響? 日…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 4
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 5
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    アメリカで「地熱発電革命」が起きている...来年夏に…
  • 8
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 9
    ネグレクトされ再び施設へ戻された14歳のチワワ、最…
  • 10
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 3
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 4
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 9
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中