政敵排除や選挙結果操作...欧州の隣でやりたい放題の「独裁者」を、EUやアメリカが支持する理由
若くてカリスマ性のある市長も逮捕...
とはいえ、人気の凋落は独裁者が選挙に負ける理由にならない。23年間にわたって権力の座にあるエルドアンが、なりふり構わず非民主的手法に頼ったとしても、驚くべきことではない。
エルドアンはCHPに本格的に対抗する機会すら与えていない。3月19日、イスタンブール市長であるCHPのエクレム・イマモールは、根拠の薄い汚職容疑で逮捕・収監された。イマモールは2023年以来、大統領選の最有力候補とされ、エルドアンが最も恐れる存在だ。若く、カリスマ性があり、2019年以降、イスタンブール市長選で3度の勝利を収めている。
このイマモールの拘束により、エルドアンが司法に圧力をかけ、有力な政敵をあらかじめ拘束しようとしていることが明らかになった。このような動きは「有能であること」が脅威とみなされるロシアの体制を彷彿させる。
弾圧はイマモールの逮捕にとどまらない。エルドアンは2024年の地方選でCHPを勝利に導いた同党党首のオズギュル・オゼルを排除し、2023年の選挙をはじめ、エルドアンに何度も敗北した前党首のケマル・クルチダルオールを復帰させようとしている。
7月5日には、CHP所属のアダナ、アドゥヤマン、アンタルヤの各市長が汚職容疑で逮捕された。だがイマモールの件と同様、これらの容疑にも確たる証拠はなく、CHPを無力化するための措置と思われる。
他にも、与党AKPが6月にCHP所属議員135人のうち61人の議員特権剥奪を求める動議を国会に提出していたことも報じられている。