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米軍によるイラン攻撃の目的は「TikTok映え」? 「トランプが一人でこの演出、計画、決行日を決めた」

ALPHA MALE BOMBING

2025年7月4日(金)14時35分
サム・ポトリッキオ(本誌コラムニスト、ジョージタウン大学教授)

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全米各地で起きた「王様はいらない」デモ(6月14日) PLEXI IMAGESーGHIーUCGーUNIVERSAL IMAGES GROUP/GETTY IMAGES

保守派の論客キャンディス・オーウェンズに言わせると、そもそも「トランプ革命」の原点にはアメリカを終わりなき戦争の泥沼に引きずり込んだネオコン思想の拒絶があった。しかし今回のイラン空爆はネオコン戦略のほぼ丸写しだ。彼女は自身のYouTube番組で言っている。「これでトランプは自分の支持基盤を砕いた。私たちの子供を外国の戦地に送り出すネオコン一派に対する宣戦布告。それこそがMAGA(アメリカを再び偉大に)なのに」

忠実で強固な支持層がいなければトランプは無力だ。そういう岩盤支持層がいればこそ、ほぼ一貫して支持率が50%を割っていても安泰だった。しかし今、その岩盤が2つに割れたようだ。「とにかく戦争なんてごめん」派と「イランには絶対に核兵器を持たせない」派の2つに。


とはいえ側近たちは政治感覚が鋭い。MAGA陣営のチャーリー・カークやスティーブ・バノンのような大物を引きずり込み、ホワイトハウスで軍事的非介入を主張させた。保守派の人気司会者タッカー・カールソンがイラン脅威論を唱える共和党のテッド・クルーズ上院議員をインタビューでつるし上げたのも適度なガス抜きとなり、トランプ応援団の怒りは収まった。

カークなどは「洗濯機くらいの小さな標的に14トンもある巨大爆弾を落とし、中東圏には着陸することなく無事に帰国した」というJ・D・バンス副大統領の精密爆撃を称賛する言葉を引いて、「政治的にはともかく、この快挙は誇りとすべきだ」と投稿している。結果、共和党支持者の約85%は今回の空爆でアメリカはより安全になったと評価した。ただし戦争の拡大を懸念する共和党支持者も62%いる。

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