新党「アメリカ党」結成を発表したマスクは、トランプ政権130日間で何を得て何を失ったのか
失ったもの①:テスラの株価と信頼
アメリカの内政と外交を引っ掻き回したマスクだったが、その代償はそれに見合わないほど大きかった。
一番大きいのはテスラの不買運動や株価暴落だろう。
傍若無人にふるまうマスクへの人々の怒りはテスラ車に向けられた。アメリカ国内外でテスラ車や代理店、充電ステーションがボイコット、破壊、放火されるという事態が相次いだ。
マスクを取り立てたトランプは、テスラへの攻撃を左派による「国内テロ」とし、自身もテスラ車を購入することを表明するなど擁護に回ったが、ほとんど効果はなかった(なお、6月初旬の報道によれば、トランプはマスクとの対立から、保有しているテスラ車の処分を検討しているようだ)。
ヨーロッパでは、テスラ車の不買運動や破壊、テスラ代理店への落書きや放火が発生した。各種報道によると、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、スウェーデン、オランダなど、多くの国でテスラの売上台数が急減。ポーランドに至っては、テスラがナチズムの象徴とみなされ、同国のスワボミル・ニトラス観光相が不買を呼び掛ける事態にも陥った。
結果、テスラ社の株は大暴落、2024年末には450ドル前後で推移していたテスラ株は、2025年に入ってから下落、3月前後には200ドル近くにまで落ち込んだ。現在はだいぶ持ち直したが、株価は元の水準に戻っていない。マスクが大株主から退任を求められる事態となったのも当然と言える。