ネタニヤフと米外交の舞台裏...「最後は自分の思い通りに」トランプを動かした男
米支援は当然
自身の政策課題を推進するネタニヤフ氏のしたたかさ、米国の圧力にも耐える粘り強さや強靭性は筋金入りだ。
1996年、初めて首相に就任してからわずか1カ月後、同氏はワシントンを訪問し、会談したクリントン大統領(当時)の神経を逆なでした。
「彼は一体自分を何様だと思っているのか。一体どちらが超大国なんだ」。会談後、クリントン氏は側近らに尋ねたと当時の米外交官は振り返る。
ネタニヤフ氏は99年に退陣した。首相に復帰したのは10年後。当時の米大統領はクリントン氏と同じ民主党のオバマ氏だった。
ネタニヤフ氏は、オバマ氏と公然とぶつかった。当初は、ヨルダン川西岸でのイスラエル人入植地問題などが懸案だったが、イランと核問題を巡る交渉に入ると事態はさらに悪化した。同氏は15年に米議会で演説し、イラン核合意(JCPOA)に向けた動きを非難した。オバマ氏はこれに激怒したとされる。
このように米大統領の怒りを買っても、米国の軍事支援は止まらなかった。米議会でイラン核合意を激しく非難した翌年、オバマ政権は10年間で380億ドルという米国史上最大の対イスラエル軍事支援パッケージを発表した。
政治アナリストは、ネタニヤフ氏が米国の支援を当然のことと捉えていると指摘する。いかにホワイトハウスを敵に回そうとも、福音派キリスト教徒とユダヤ系コミュニティーからの支持が後ろ盾だと確信しているという。