成果ゼロの米ロ電話会談で見えた、トランプの「真の狙い」とは?...和平交渉から「手を引く」可能性も
What Trump Really Wants

トランプはプーチンとの会談を自画自賛したが(写真は2021年) HOUSE SELECT COMMITTEEーAP/AFLO
<和平の見通しも示さず追加制裁もなし──2時間以上にも及んだ電話会談でトランプとプーチンは一体何を話したのか?>
ドナルド・トランプ米大統領とロシアのウラジーミル・プーチン大統領の5月19日の電話会談は2時間以上に及んだが、ウクライナ戦争終結に向けた進展は1インチもなかった。
この行き詰まりに驚く人は誰もいないはず──ただ1人、プーチンも平和を望んでいると語ったトランプを除いては。
トランプが戦争の早期終結を望むのは、米ロ関係改善だけが目的であり、それがウクライナの降伏を意味するのであればそれでもいいようだ。
トランプは、電話会談での「雰囲気や精神」は「素晴らしかった」と称賛した。プーチンは公式声明で、「率直で有益」だったと評した。だがよくよく注意すれば、どちらも和平の見通しについて一言も語っていないのは明らかだ。
ここ数週間、トランプは何度も「即時停戦」を呼びかけてきた。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領も支持したが、プーチンは決して賛成しなかった。
会談前に複数の欧州首脳はトランプに対し、プーチンに新たな要求を突き付けるよう促した。プーチンが和平に応じなければ制裁を追加するとつい最近まで息巻いていたはずのトランプは、彼らのこの要請を無視したようだ。