最新記事
教皇選挙

教皇選挙(コンクラーベ)で注目...「漁師の指輪」とは何なのか、なぜ破壊されるのか?

What Is Pope Francis' Fisherman's Ring and Why Is It Destroyed After His Death?

2025年5月8日(木)18時19分
タハール・ラジャブ

他の教皇たちの指輪

前任のベネディクト16世の指輪は、ミケランジェロの絵画にインスパイアされ、35gの純金から鋳造された。製作には8人の職人が1日15時間、2週間以上かけたという。指輪にはラテン語の称号である「ベネディクトゥス16世」と刻まれ、聖ペトロの像がデザインされている。

なぜ指輪は破壊されるのか

教皇の死後、漁師の指輪は長年の伝統に従い、儀式的に破壊され、溶かされる。これには2つの目的がある。

まず、指輪が悪用されたり複製されたりして偽の教皇権が主張されるのを防ぐこと。次に、物理的な権威の象徴を消し去ることで、前教皇の権威が継続しないことを明示し、新たな教皇の選出と即位の準備を整える意味が込められている。

なぜ信者は指輪にキスをするのか

信者が教皇の足にキスをするのはカトリックの伝統だったが、現在は多くの人が指輪にキスをする。しかし、フランシスコやベネディクト16世はこの習慣を控えるよう促してきた。

2019年、イタリア・ロレートの「サンタ・カーザ(聖なる家)」で信者が指輪にキスしようとすると、フランシスコは何度も手を引っ込めた。しかしその2日後、修道女や司祭にはキスを許している。

【動画】一体なぜ? 手を引っ込めて信者が指輪にキスするのを拒む教皇フランシスコ

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ウクライナ国防相「次は首脳会談」、直接交渉の目標は

ビジネス

米ミシガン大消費者信頼感、5月速報値悪化 1年先期

ワールド

欧州首脳「ロシアの姿勢容認できず」、ウクライナとの

ビジネス

スイス中銀総裁、マイナス金利「排除せず」
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:2029年 火星の旅
特集:2029年 火星の旅
2025年5月20日号(5/13発売)

トランプが「2029年の火星に到着」を宣言。アメリカが「赤い惑星」に自給自足型の都市を築く日

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    ワニの囲いに侵入した男性...「猛攻」を受け「絶叫」する映像が拡散
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    大手ブランドが私たちを「プラスチック中毒」にした…
  • 5
    宇宙の「禁断領域」で奇跡的に生き残った「極寒惑星…
  • 6
    ヤクザ専門ライターが50代でピアノを始めた結果...習…
  • 7
    中ロが触手を伸ばす米領アリューシャン列島で「次の…
  • 8
    戦車「爆破」の瞬間も...ロシア軍格納庫を襲うドロー…
  • 9
    これが「女性ウケする男性像」で間違いない...『君の…
  • 10
    MEGUMIが私財を投じて国際イベントを主催した訳...「…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    カヤック中の女性がワニに襲われ死亡...現場動画に映った「殺気」
  • 3
    母「iPhone買ったの!」→娘が見た「違和感の正体」にネット騒然
  • 4
    シャーロット王女の「親指グッ」が話題に...弟ルイ王…
  • 5
    ワニの囲いに侵入した男性...「猛攻」を受け「絶叫」…
  • 6
    トランプ「薬価引き下げ」大統領令でも、なぜか製薬…
  • 7
    あなたの下駄箱にも? 「高額転売」されている「一見…
  • 8
    ロシア機「Su-30」が一瞬で塵に...海上ドローンで戦…
  • 9
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山…
  • 10
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワ…
  • 5
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 6
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 7
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 8
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?.…
  • 9
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中