最新記事
親ロ派

ロシアは既に窮地にある...西側がなぜか「見て見ぬふり」をする「プーチン失脚」へのスイッチとは?

PUTIN’S MOUNTING SETBACKS

2025年2月19日(水)11時55分
ケーシー・ミシェル(ジャーナリスト)
プーチン大統領

ウクライナを「子分」にするためには政権基盤を危うくするリスクもいとわないプーチン THIBAULT CAMUSーPOOLーREUTERS

<ウクライナに固執し続けるプーチンに周辺親ロ派諸国の「ドミノ倒し」が迫る。西側がロシア版「ドミノ理論」を戦略的に使えば、プーチン失脚も見えてくるはずだが──>

ウクライナから日々伝えられるニュースを見て、多くの人はこの戦争の行方に悲観的な予想を抱いているだろう。ロシア軍は人的犠牲をいとわず執念深く侵攻を進め、じわじわと支配地域を拡大している。

だが、こうした見方では、「木(戦況を伝える日々のニュース)を見て、森(実際にはロシアがどれほど打撃を受けて傷ついているか)を見ず」になりかねない。


今のプーチンは偏執的にウクライナにこだわるあまり、それ以外の地域の地政学的な課題に目を向けようともしない。結果、親ロシア派の国や地域が次々に倒れるロシア版「ドミノ理論」が現実になりつつある。

最初のドミノが倒れたのは2023年の秋。アゼルバイジャン軍がアルメニアと領有権を争うナゴルノカラバフに侵攻し、多数のアルメニア系住民が家を追われた。

このときアルメニアの重要な安全保障上のパートナーで、この地域に平和維持部隊を駐留させていたロシアはアゼルバイジャン軍の作戦を阻止しなかった。

1年後、次のドミノが倒れた。シリアのバシャル・アサド前大統領の失脚で、ロシアは中東における重要な同盟国を失ったばかりか、アサド率いる独裁政権の後ろ盾としての自国のメンツまで失うことになった

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ノバルティスとロシュ、トランプ政権の薬価引き下げに

ビジネス

中国の鉄鋼輸出許可制、貿易摩擦を抑制へ=政府系業界

ワールド

アングル:米援助削減で揺らぐ命綱、ケニアの子どもの

ワールド

訂正-中国、簡素化した新たなレアアース輸出許可を付
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 7
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 8
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 9
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 10
    【銘柄】「日の丸造船」復権へ...国策で関連銘柄が軒…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 5
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 6
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 10
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中