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親ロ派

ロシアは既に窮地にある...西側がなぜか「見て見ぬふり」をする「プーチン失脚」へのスイッチとは?

PUTIN’S MOUNTING SETBACKS

2025年2月19日(水)11時55分
ケーシー・ミシェル(ジャーナリスト)

この2つのドミノを倒したのは、どんな代償を払ってもウクライナを従属させようとするプーチンの執念だ。そこから2つの疑問が浮かぶ。この状況下で、次に倒れる親ロ派のドミノはどの国・地域か? そして西側はこの状況を最大限に利用する準備ができているだろうか。

まず、最も長くロシアの庇護下にあったドミノに目を向けてみよう。それはモルドバ東部の沿ドニエストル地域だ。ロシア系住民が多く住むこの地域はソ連崩壊後にロシアの支援を受けてモルドバからの分離独立を宣言、未承認国家となった。


西側はこの地域の厄介な帰属問題に首を突っ込もうとしなかった。

1990年代末には、ロシアがモルドバから部隊を撤収させるという約束を守らないことは分かり切っていた。ヨーロッパの真ん中に親ロ派の独立国を誕生させる計画を断念するとの約束も守られるはずがない。それでも西側はこの地域を現状のまま放置した。

ところが今になって突然、ロシアはこの地域を見捨てたようにも見える。

今年初め、ロシアはウクライナ経由のモルドバへの天然ガス供給を停止した。ロシア産ガスで発電を賄っていた沿ドニエストル地域は文字どおり暗闇に包まれた。

その後に電力回復に向け一定の進展はあったが、ロシアの後ろ盾を失ったこの地域が「崩壊」するのは時間の問題ではないかとの臆測が飛び交った。

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