最新記事
階層格差

富裕層ほど政治参画への意識が高く、その傾向は子ども世代に引き継がれる

2025年2月19日(水)11時30分
舞田敏彦(教育社会学者)

親年代の政治的関心の階層格差は、子ども世代にも引き継がれるようだ。<表1>は、社会変革や政治参画に関する10の設問に対して高校生がどう答えているかを、上記の3つのグループで比較したものだ。「全くそう思う」「まあそう思う」の割合を掲げている。

newsweekjp20250219015326-30bc24e3ca5a7288df62972f6a54935c2f3783a0.png


3つのグループの中で最も高い数値は赤色にし、直線的な傾向の場合は不等号を付している。これによると、社会は変えられるという自信、社会を変えようという意向は、おおよそ裕福な家庭の生徒ほど高い。現状維持志向も同じだ(⑤、⑥)。恵まれた暮らしをしているためだろう。

対して、経済的に厳しい家庭(低所得層)の生徒では、無気力や自信に乏しい回答の割合が相対的に高い。自分とかけ離れた政治のことなど考える余裕がないのか、多様な政治参画の手段を知らないのか――。それがゆえに、闇バイトへの加担や自棄型犯罪といった、社会を揺るがす非合法の手段に傾くとしたら問題だ。

政治的関心の階層格差、既存の体制が維持再生産されやすい理由は、こういう所にもある。それは、早い段階に意図的に是正されなければならない。学校における主権者教育、公民教育への期待は大きい。

「法の下の平等」といったお題目を説いて聞かせるだけではなく、政治によって、世の中の貧困や不平等が克服された事例を題材として取り上げるべきだ。

<資料:国立青少年教育振興機構『高校生の社会参加に関する意識調査』(2020年)>

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

訂正中国が北京で軍事パレード、ロ朝首脳が出席 過去

ワールド

米制裁下のロシア北極圏LNG事業、生産能力に問題

ワールド

豪GDP、第2四半期は前年比+1.8%に加速 約2

ビジネス

午前の日経平均は反落、連休明けの米株安引き継ぐ 円
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:豪ワーホリ残酷物語
特集:豪ワーホリ残酷物語
2025年9月 9日号(9/ 2発売)

円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代──オーストラリアで搾取される若者たちの実態は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニングをする女性、異変を感じ、背後に「見えたモノ」にSNS震撼
  • 2
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体」をつくる4つの食事ポイント
  • 3
    「見せびらかし...」ベッカム長男夫妻、家族とのヨットバカンスに不参加も「価格5倍」の豪華ヨットで2日後同じ寄港地に
  • 4
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が…
  • 5
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 6
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 7
    トレーニング継続率は7倍に...運動を「サボりたい」…
  • 8
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 9
    Z世代の幸福度は、実はとても低い...国際研究が彼ら…
  • 10
    「人類初のパンデミック」の謎がついに解明...1500年…
  • 1
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 2
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 3
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 4
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 5
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 6
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 7
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 8
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマ…
  • 9
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 10
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 1
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 2
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 3
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大ベビー」の姿にSNS震撼「ほぼ幼児では?」
  • 4
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 5
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 6
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 9
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 10
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中