最新記事
中国

中国の言う「台湾は中国」は本当か......世界が中国に警告を発し始めた

IS A PASSAGE FOR TAIWAN IN SIGHT?

2024年11月12日(火)18時00分
練乙錚(リアン・イーゼン、経済学者)
中国

1971年11月、初めて国連総会で着席した中国代表団 MEL FINKELSTEINーNY DAILY NEWS ARCHIVE/GETTY IMAGES

<中国は台湾を自国のものだと主張し、いつでも併合する権利があると言う。しかし1952年のサンフランシスコ平和条約も、共産党政権を「中国」と承認した1972年の国連アルバニア決議も、台湾の帰属について言及していない>

中国政府は、台湾を自国のものだと主張し、いつでも併合する権利があると言い続けている。この主張が言葉だけにとどまる限り、世界はさほど問題にしないが、中国政府が台湾に軍事的脅威を及ぼせば、国際社会はそれ相応の強い姿勢で臨む。

最近も中国が醜悪な挑発行為を繰り返しているのに対し、アメリカやその同盟国が相次いで自国の軍艦に台湾海峡を通航させている。しかし、世界の国々が取っている措置はそれだけではない。


10月24日、欧州議会は、オーストラリアなどに続き、中国が台湾の領有権を主張することに異を唱える決議を圧倒的多数の賛成で採択した。この決議では、中国政府が1971年の国連総会決議2758(アルバニア決議)を意図的に誤読し、台湾が中国に属するという誤った認識を拡散させていると非難した。

アルバニア決議は、国連が共産党政権を「中国」として承認し、「蒋介石の代表」を追放することを決定したが、「台湾」や「中華民国」には言及していない。この点は、第2次大戦を正式に終結させた1952年のサンフランシスコ平和条約に準拠したものと見なせる。

この条約は、日本が台湾を放棄するとしたが、どの国もしくは政権がそれを引き継ぐのかは意図的に明記されなかった。調印した国々の間では、蒋介石の中華民国による施政下に入りつつ、領有権の帰属は確定させず、いずれ住民が平和的に決めるのを待つというコンセンサスがあった。蒋介石も共産党の毛沢東もこの扱いには不満だったが、当時の国内・国際政治の状況により、強く拒絶することはできなかった。

試写会
『クィア/Queer』 ニューズウィーク日本版独占試写会 45名様ご招待
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

見通し実現なら経済・物価の改善に応じ利上げと日銀総

ワールド

ハリス氏が退任後初の大規模演説、「人為的な経済危機

ビジネス

日経平均は6日続伸、日銀決定会合後の円安を好感

ワールド

韓国最高裁、李在明氏の無罪判決破棄 大統領選出馬資
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 2
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 5
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 6
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    フラワームーン、みずがめ座η流星群、数々の惑星...2…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 7
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 8
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 9
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 10
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中