最新記事
ウクライナ情勢

ウクライナには「F16が緊急にもっと必要」だが、フランスはミラージュ戦闘機を供与すると発表

Ukraine Gets Mirage 2000 Fighter Jet Boost From NATO Ally

2024年10月10日(木)15時38分
エリー・クック
ミラージュ2000-5

潜在顧客の前でデモ飛行を見せたミラージュ2000-5(1999年)

<先週末に第一弾のF16を引き渡したオランダの国防相はさらなるF16が「緊急に必要」と語ったばかりだが>

フランスのセバスチャン・ルコルニュ国防相が、ロシアとの戦争で劣勢に立つウクライナに対して2025年の前半に戦闘機を送る計画を明らかにした。オランダもつい最近、西側の戦闘機の第1弾を引き渡したと発表したばかり。

【動画】ミラージュはF16やユーロファイターにかなわない?

仏戦闘機「ミラージュ2000」は、「2025年の前半にはウクライナ上空を飛行しているだろう」と、10月8日発行の現地シュド・ウエスト紙にルコルニュは述べた。X(旧ツイッター)への投稿では、供与は2025年の第1四半期になると書いている。

フランスのエマニュエル・マクロン大統領は6月、ウクライナに最新のミラージュ2000-5型を提供すると発表。訓練のためにウクライナ軍のパイロットをフランスに受け入れるとも述べていた。ただし具体的に何機を供与するかは明言していない。

ミラージュ2000-5は仏防衛大手ダッソー社製の単発戦闘機で、ウクライナが現在運用している米戦闘機F16と同じ第4世代の戦闘機。装備を変えることで空中戦や対地攻撃など複数の役割をこなせる多目的型だ。

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は8月初旬、ウクライナ空軍が西側製の戦闘機を使用していることを認めた。西側諸国はウクライナに戦闘機の供与を約束してはいたものの、なかなか引き渡しが進んでこなかった。

本当は80機届くはずだが

西側諸国がウクライナに供与する支援の中でも最も重要視されているF16戦闘機は、アメリカが2023年8月に正式に供与を承認し、同機を導入しているオランダ、デンマーク、ノルウェーとベルギーが計約80機をウクライナに供与すると約束したが、引き渡しは、予備部品の不足などで遅延が重なった。

航空戦力で優位に立つロシアに苦戦してきたウクライナにとって、F16はたとえ少数でもロシア空軍に対抗する上で大きな助けになる。だが、ウクライナ軍が現在運用している戦闘機の数が少ないことを考えると、追加的なF16の投入だけで形勢を一変させるのは難しい。

ウクライナは8月下旬に少なくとも1機のF16を墜落により失っている。ウクライナ空軍によればこのF16は「ロシア軍による大規模な空爆やミサイル攻撃を撃退しようとした」際に墜落し、空軍パイロットのオレクシー・メシ中佐が死亡した。

デンマークのメッテ・フレデリクセン首相は8月に、デンマークがいち早く供与したF16がウクライナで「運用されていることをとても誇りに思う」と述べた。「これらのF16は今まさに空を飛んでおり、パイロットたちは素晴らしい仕事をしている」

そして「残念ながら数日前にそのうちの1機は失われた」とつけ加えた。またデンマークのトロルス・ルン・ポールセン国防相は9月半ばに、デンマークはさらに2024年後半、第2弾のF16を引き渡す」と明らかにした。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ユーロ圏企業、利益率への圧力続く見通し=ECB調査

ビジネス

ECBバランスシート縮小、金融市場機能正常化に寄与

ビジネス

中国人民銀の金準備、10月も横ばい 6カ月連続購入

ビジネス

日産、生産能力と人員削減で純損益予想取り下げ 販売
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:米大統領選と日本経済
特集:米大統領選と日本経済
2024年11月 5日/2024年11月12日号(10/29発売)

トランプ vs ハリスの結果次第で日本の金利・為替・景気はここまで変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウクライナ軍と北朝鮮兵が初交戦
  • 2
    「ダンスする銀河」「宙に浮かぶ魔女の横顔」NASAが今週公開した「不気味で美しい」画像8選
  • 3
    米大統領選挙の「選挙人制度」は世界の笑い者── どうして始まりなぜ変えられないのか?
  • 4
    予算オーバー、目的地に届かず中断...イギリス高速鉄…
  • 5
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」ものはど…
  • 6
    どちらが勝っても日本に「逆風」か...トランプvsハリ…
  • 7
    【読解力を高める】オーディオブックの意外な効用...…
  • 8
    「家族は見た目も、心も冷たい」と語る、ヘンリー王…
  • 9
    アメリカを「脱出」したいアメリカ人の割合が史上最…
  • 10
    ネアンデルタール人「絶滅」の理由「2集団が互いに無…
  • 1
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウクライナ軍と北朝鮮兵が初交戦
  • 2
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大人気」の動物、フィンランドで撮影に成功
  • 3
    予算オーバー、目的地に届かず中断...イギリス高速鉄道計画が迷走中
  • 4
    日本で「粉飾倒産」する企業が増えている理由...今後…
  • 5
    「家族は見た目も、心も冷たい」と語る、ヘンリー王…
  • 6
    脱北者約200人がウクライナ義勇軍に参加を希望 全員…
  • 7
    投票日直前、トランプの選挙集会に異変! 聴衆が激…
  • 8
    「ダンスする銀河」「宙に浮かぶ魔女の横顔」NASAが…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    「常軌を逸している」 トランプ、選挙集会で見せた「…
  • 1
    「地球が作り得る最大のハリケーン」が間もなくフロリダ上陸、「避難しなければ死ぬ」レベル
  • 2
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 3
    秋の夜長に...「紫金山・アトラス彗星」が8万年ぶりに大接近、肉眼でも観測可能
  • 4
    死亡リスクはロシア民族兵の4倍...ロシア軍に参加の…
  • 5
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 6
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 7
    大破した車の写真も...FPVドローンから逃げるロシア…
  • 8
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 9
    予算オーバー、目的地に届かず中断...イギリス高速鉄…
  • 10
    エジプト「叫ぶ女性ミイラ」の謎解明...最新技術が明…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中