最新記事
司法

「仮釈放はさせない」──反省なく犯人が社会に戻ることは絶対に許さない、被害者家族の闘い

My Brother’s Killer Is Up for Parole

2023年5月11日(木)14時31分
ステン・エリック・カールソン(自動車産業の元重役、カリフォルニア州在住)
ステン・エリック・カールソン

兄のフランクが惨殺された74年4月18日の事件は筆者(写真)の心に深い傷を残し、その後の人生に決定的な影響を与えた STEN ERIC CARLSON

<被害者の存在が忘れ去られると犯人は仮釈放されやすくなり、遺族は永遠の闘いを強いられることに...。そんな思いを誰にもさせないためにできることとは?>

米カリフォルニア州サンフランシスコ周辺地域のSNSでは、強盗や家宅侵入のエピソードがよく投稿される。この種の犯罪は頻繁に起きるものではないが、その影響は長期にわたって続く。

1974年4月18日、私の兄フランク・カールソンは、サンフランシスコで起きた残忍な家宅侵入事件で殺害された。

兄を殴り殺した犯人のアンジェロ・パバジョーはその後4時間、兄の妻アネットを強姦し、拷問を加え、宝石を盗んだ後でそのまま彼女を放置した。そして犯罪の痕跡を消すため、家に火を付けた。

4月19日朝のことは、今もはっきりと覚えている。私は学校へ行く準備をしていた。

何が起きたのかを知ったのは午前7時頃。父は既に仕事に出かけていた。母は病院のボランティアに行くところで、身支度をしながらラジオのニュースを聞いていた。

両親の寝室から悲鳴が聞こえた。母はその時、ラジオで兄の殺害を知ったのだ。私たちはサンフランシスコ警察に電話して、事実を確認した。

私はショックと恐怖で現実から切り離されたような感覚になった。この日の記憶はぼんやりとしているが、あの瞬間のことは今でもよく覚えている。まるで映画の中にいるような感覚だった。

その後も全てがぼんやりとしていた。私たちは兄の妻アネットのために、毎日病院に通った。両親は刑事と個人面談を行い、数週間後に私は再び高校に通い始めた。

友人の多くは事件に強いショックを受け、私にかけるべき言葉を失っていた。それでも何人かは何を言うべきかを正確に理解していた。彼らとは現在も友人として付き合っている。

兄を殺したパバジョーは逮捕され、有罪を宣告され、死刑(さらに付帯犯罪について54年の禁錮刑)を言い渡された。

アネットは心身ともに深刻な傷を負ったが、何とか生き延びた。私はこの恐ろしい出来事を人々に伝えるため、ウェブサイト(justiceforfrank.org)をつくった。

あれから49年。事件に関わった警官や救急隊員は今も、これまで遭遇した中で最も陰惨な犯罪現場だったと表現している。

当時の私はまだ16歳だったが、それでも死刑が執行されないことは分かっていた。

まちづくり
川崎が「次世代都市モデルの世界的ベンチマーク」に──「世界に類を見ない」アリーナシティプロジェクトの魅力
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、空港に州兵配備検討も 混乱拡大受けIC

ビジネス

米建設支出、1月は前月比0.3%減 民間部門が低迷

ビジネス

ユーロ圏消費者信頼感指数、3月は-16.3 前月か

ワールド

米・イラン協議「主要な合意」、23日も継続とトラン
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:BTS再始動
特集:BTS再始動
2026年3月31日号(3/24発売)

3年9カ月の空白を経て完全体でカムバック。世界が注目する「BTS2.0」の幕開け

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店員も「なすすべなし」の暴走モード
  • 2
    「胸元を強調しすぎ...」 米セレブ、「目のやり場に困る」黒レースのドレス...豊胸を疑う声も
  • 3
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ海峡封鎖と資源価格高騰が業績を押し上げ
  • 4
    イランは空爆により核・ミサイル製造能力を「喪失」…
  • 5
    スウェーデン次期女王ヴィクトリア皇太子、陸軍訓練…
  • 6
    「カメラの目の前」で起きた爆発の瞬間...取材中の記…
  • 7
    「筋力の正体」は筋肉ではない...ストロングマンが語…
  • 8
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 9
    100年の時を経て「週40時間労働」が再び労働運動の争…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 1
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 2
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え時の装いが話題――「ファッション外交」に注目
  • 3
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が発生し既に死者も、感染源は「ナイトクラブ」
  • 4
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 5
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 6
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 7
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 8
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ…
  • 9
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 10
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラ…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中