最新記事

ツイッター

マスク体制のツイッターから離れるセレブたち 「元カノ」は去り、ホラー小説の帝王は激怒した

2022年11月6日(日)11時05分
千歳香奈子
イーロン・マスク

コンテンツ規制の緩和で急激に荒れるツイッターからセレブが去り、大手企業の間でも距離を取る動きが Dado Ruvic/Illustration/REUTERS

<イーロン・マスクが実権を握って以降、差別・中傷発言が急増。サラ・バレリスは「ツイッターは楽しかった」と最後に書き残し、スティーヴン・キングは対立姿勢を露わに>

世界一の富豪で米実業家のイーロン・マスク(51)が、先月27日にツイッターを440億ドルで買収し、新オーナーに就任した直後から「将来を不安視」するセレブたちのツイッター離れが起き、話題となっている。

「言論の自由」をうたい、過去にツイッターから永久追放されたドナルド・トランプ前米大統領の復帰を支持する考えを示すなどヘイト(憎悪)や差別発言の監視に否定的な姿勢を示してきたマスクが実権を握って以降、ネット上での差別や中傷の拡大が顕著となっている。コンテンツモデレーション(投稿監視)を緩める意向を示すマスクの買収を歓迎する保守派ユーザーによる、「言論の自由がどこまで許されるのか」を試すような投稿が倍増していることなどから、「ヘイトスピーチは言論の自由か否か」の論争も起きている。

マスク氏自身も、ナンシー・ペロシ米下院議長の夫が自宅で襲撃された事件を巡って根拠のない陰謀論をツイート(数時間後に削除)したことなども相まって、嫌気が差したセレブたちは「脱マスク・ツイッター」を宣言し、ツイッターに別れを告げている。

「ツイッターは楽しかった」「イーロンの計画に付き合うつもりはない」

グラミー賞ノミネート歴を持ち、300万人近いフォロワーがいるシンガー・ソングライターのサラ・バレリスは、「ツイッターは楽しかった。私はやめる。他のプラットフォームで会いましょう。ごめんなさい、これは私のためのものではないので」と投稿。ハートマークと手を合わせた謝罪の絵文字で、フォロワーにツイッター卒業を報告した。

医療ドラマ『グレイズ・アナトミー恋の解剖学』や『スキャンダル 託された秘密』など大ヒットドラマを手掛ける大物プロデューサーのジョンダ・ライムズは、「イーロンの計画に付き合うつもりはない。さようなら」と198万人のフォロワーに向けてツイート。それ以降、一切ツイッターを更新していない。

R&B歌手で女優のトニー・ブラクストンは、マスクの買収後にプラットフォーム上で見かけた「言論の自由」のいくつかにショックを受け、愕然としたとツイート。「言論の自由というベールに包まれたヘイトスピーチは容認できない。したがって、ツイッターはもはや私自身や息子、そして他の有色人種の人々にとって安全な場所ではないため、ツイッターから離れることを選択する」と述べている。

俳優で映画監督のケン・オリンは、「ジャッジはしない。ここを抜ける」とツイートし、「信念を持とう。民主主義を守ろう。親切を心がけよう。地球を救おう。もっと寛大になろう。世界平和を探そう」とフォロワーに訴えた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:「豪華装備」競う中国EVメーカー、西側と

ビジネス

NY外為市場=ドルが158円台乗せ、日銀の現状維持

ビジネス

米国株式市場=上昇、大型グロース株高い

ビジネス

米PCE価格指数、インフレ率の緩やかな上昇示す 個
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 4

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」…

  • 5

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 6

    アカデミー賞監督の「英語スピーチ格差」を考える

  • 7

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 10

    大谷選手は被害者だけど「失格」...日本人の弱点は「…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 9

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 10

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈する動画...「吹き飛ばされた」と遺族(ロシア報道)

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中