最新記事

カンボジア

メコン川の主か? 世界最大300kg近い巨大エイに専門家も唖然 カンボジア

2022年6月23日(木)19時30分
佐藤太郎

YouTube/GlobalNEWS

カンボジアの漁師が、記録上世界最大の淡水魚である巨大なエイを釣り上げた。これまでに捕獲された淡水魚で最も大きかったのは2005年にタイで発見された293kgのメコンオオナマズだ。

自然保護活動を目的としたカンボジアと米国の共同研究プロジェクト「Wonders of the Mekong」が6月20日に発表した。

6月13日にカンボジア北東部のメコン川ストゥントレンの南で捕獲されたこのエイは、鼻から尾までの長さが約4メートル、体重が300キロをわずかに下回っていたという。巨大な球根のような形からクメール語で満月を意味する「ボラミー」と名づけられた。

ボラミーはその大きさのあまり、10人がかりで陸に揚げられた。釣り上げた漁師のモウル・トゥンさんは、記録破りの魚を釣り上げたという名誉と、約600ドル(約8万1,000円)の報酬を受け取った。


専門家も唖然

ボラミー捕獲は、淡水魚の研究者らを歓喜させるものでもあった。「Wonders of the Mekong」の研究チームが近くにいて、夜中にボラミー捕獲の一報を受けた。

研究者たちは飛び起きて準備し、数時間後に現場に到着。その光景に驚きを隠せなかった。

「淡水魚でここまで大きいものを目の前にし、状況を理解するのが難しかった」「チーム全員が唖然としたと思います」と、Wonders of the Mekongのリーダー、ゼブ・ホーガン氏。

淡水魚は一生の間淡水で過ごす魚と定義されている。クロマグロやマカジキのような巨大な海産魚や、シロチョウザメのように淡水と海水の間を移動する魚とは異なる。

ボラミーの捕獲が注目される理由は、単にその大きさだけではない。

メコン川は今、多くの環境問題に直面している。ホーガン氏は「魚がまだこれほど大きくなれるという事実は、メコン川にとって希望が持てる兆候」と語った。

メコン川の全長はおよそ 4,800キロメートル、東南アジア最長の大河だ。源流のチベット高原から中国、ミャンマー、ラオス、タイ、カンボジア、ベトナムの6カ国を通り、約6,500万人がこの水源の恩恵を受けて生活している。

インドシナ半島の人々は川で捕った魚を食べ、川で採取した砂で家を作り、川の水で作物を育て生きてきた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トルコ、ロシア産ガス契約を1年延長 対米投資も検討

ワールド

米国がAUKUS審査結果提示、豪国防相「米は全面的

ワールド

アングル:大火災後でも立法会選挙を強行する香港政府

ビジネス

リオ・ティント、コスト削減・生産性向上計画の概要を
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 2
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇気」
  • 3
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与し、名誉ある「キーパー」に任命された日本人
  • 4
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国…
  • 5
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 6
    【クイズ】日本で2番目に「ホタテの漁獲量」が多い県…
  • 7
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 8
    台湾に最も近い在日米軍嘉手納基地で滑走路の迅速復…
  • 9
    高市首相「台湾有事」発言の重大さを分かってほしい
  • 10
    見えないと思った? ウィリアム皇太子夫妻、「車内の…
  • 1
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 4
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 5
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 6
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 7
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 8
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 9
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 10
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 4
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 5
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中