最新記事

ウクライナ情勢

「プーチンは戦略的惨事にはまった」(マッカフリー元米軍大将)

Putin in 'Strategic Disaster' With Ukraine War, Says Retired US General

2022年3月14日(月)16時42分
ジェイソン・レモン

ロシア軍を迎え撃つため首都キエフの北にある塹壕で、対戦車ミサイル「ジャベリン」とともに位置にすくウクライナ兵士(3月13日) Gleb Garanich-REUTERS

<これから始まる首都キエフをめぐる攻防は、目を背けたくなるものになるだろう。一方プーチンは、経済制裁に苦しむロシア経済にはほとんど手を打っていない>

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は「戦略的惨事(strategic disaster)」にはまり込んでいると、バリー・マカフリー元米陸軍大将は言う。

ロシアが2月24日にウクライナへの軍事侵攻を開始すると、国際社会からすぐさま激しい非難を浴びた。挑発されたわけでもないのに始めたこの攻撃を正当化するため、プーチンは「ウクライナの指導者たちは『ネオナチ』だ」とするおかしな説を唱えた。だがウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領はユダヤ人で、親族にはナチスのホロコースト(ユダヤ人大虐殺)で命を落とした人もいる。

アメリカとカナダ、それに欧州の同盟諸国は足並みをそろえ、ロシア経済や大物政治家とオリガルヒ(新興財閥)に厳しい経済・金融制裁を科している。一方でウクライナ軍は多くの市民ボランティアに支えられながら、多くのアナリストの予想を上回る善戦ぶりだ。

マッカフリーは13日、MSNBCのインタビューに対し、アメリカのバイデン政権は「この事態にアメリカ一国ではなく同盟として前進するという、非常にうまいやり方で対処した」と述べた。

核攻撃には15分で反撃する

「私たちはプーチンが自らを戦略的大惨事に追い込むのを目の当たりにすることになると思う。首都キエフをめぐる攻防が激化する中、ウクライナの理不尽な苦しみを終わらせるためにわれわれがどう行動するか、それが問われている。これから数週間、見るのもつらい状況になるだろう」とマッカフリーは述べた。

「首都キエフを包囲し破壊しようとするプーチンの行動は、欧州諸国にとって許容範囲の限界に近付いていると思う」

だが、プーチンが核戦争勃発の「リスクを冒す」のではないか、という懸念は一蹴した。プーチンが核兵器を使う可能性は「ゼロに近い」と彼は言う。

「ロシア空軍の中佐が核兵器の使用に合意するなど想像できない。米海軍は原子力潜水艦に戦術核兵器を搭載している。もしロシアが核を使えばものの15分で報復できるだろう。核戦争で勝てるなどと正気で考える人間はいない」とマッカフリーは述べた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:メキシコ大統領、酔った男に抱きつかれる被

ビジネス

再送(5日配信の記事)-川崎重工、米NYの地下鉄車

ワールド

アルゼンチン通貨のバンド制当面維持、市場改革は加速

ビジネス

スズキ、4ー9月期純利益は11.3%減 通期予想は
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 3
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイロットが撮影した「幻想的な光景」がSNSで話題に
  • 4
    NY市長に「社会主義」候補当選、マムダニ・ショック…
  • 5
    「なんだコイツ!」網戸の工事中に「まさかの巨大生…
  • 6
    カナダ、インドからの留学申請74%を却下...大幅上昇…
  • 7
    もはや大卒に何の意味が? 借金して大学を出ても「商…
  • 8
    約500年続く和菓子屋の虎屋がハーバード大でも注目..…
  • 9
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 6
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 9
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 10
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中