最新記事

航空機

航空機が折り重なるイラン空港の異様な衛星画像は何を意味するのか

Pile of Planes 'Cannibalized' for Parts at Iran Airport Stuns Internet

2022年2月9日(水)18時40分
レベッカ・フラッド

航空業界では自動操縦装置やエンジンなど、別の飛行機の修理に使うことができる部品がある場合、飛行機を「共食い」させることがある、と彼は説明した。

「例えば、エンジンには一定の寿命があり、それを過ぎると、エンジンを外して修理工場に送り、ほとんど新品のように作り直さなければならない。エンジンの部品の中には非常に特殊なものもあり、イランで同じものを製造することはできないだろう」

「そこでイランの航空会社はどうするかというと、他の航空機からもってくる」

「闇市場から部品を調達することもできたはずだ。自前で製造することができるものは、当然、作ってみただろう。できないものは、共食いした、というわけだ」

「ここに写っている飛行機は、使えるものをすべて取り出した後の巨大なゴミの山だ。最終的にはビール缶にリサイクルされるだろう」

アイマーはその中の1機が、乗客約100人のボーイング707-200型機であることを確認した。今もこのモデルを使っている航空会社はごく少ないという。

老朽化したモデル

イランで使われている航空機はどれくらい古いのか。ブリタニカによるとボーイング707の初飛行は1957年。アメリカで定期便に使われたのは、1983年が最後だ。

欧米の航空会社は新型機に切り替えた後、707を最後に旅客用に使用していたのはイランのサハ航空だった。2013年まで旅客機として利用され、その後は軍が貨物輸送に使用した。

2019年にイランのファス空港で起きた707型機の墜落事故では、搭乗していた16人中15人が死亡している。

カリフォルニアに本拠を置くエアロ・コンサルティング・エキスパーツのCEOを務めるアイマーは、飛行機の共食いはある程度までなら「安全」だと述べた。

「だが永遠にやり続けることはできないし、ある時点であきらめなければならない。40年近くも制裁を受け続けてきたイランでは、これまでのように運航ができなくなる日が来ると誰もが予想していた。今まで運航を続けてきたことが驚きだ」

イランは、ほとんどが王政時代に購入された古い航空機をこれまで飛行可能な状態に保ってきた。2013年の時点でロイターは、航空機の運航を続けるために、古い飛行機が解体されて利用されたことを報じている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米雇用4月17.7万人増、失業率横ばい4.2% 労

ワールド

カナダ首相、トランプ氏と6日に初対面 「困難だが建

ビジネス

デギンドスECB副総裁、利下げ継続に楽観的

ワールド

OPECプラス8カ国が3日会合、前倒しで開催 6月
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得る? JAXA宇宙研・藤本正樹所長にとことん聞いてみた
  • 2
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 3
    インドとパキスタンの戦力比と核使用の危険度
  • 4
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 5
    目を「飛ばす特技」でギネス世界記録に...ウルグアイ…
  • 6
    宇宙からしか見えない日食、NASAの観測衛星が撮影に…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    金を爆買いする中国のアメリカ離れ
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 5
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 8
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が…
  • 9
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中