最新記事

ピープル

自撮りヌードでイランを挑発するキム・カーダシアン

2016年5月18日(水)17時55分
トゥファエル・アフメド

不屈の精神 ウェビー賞で「Break the Internet」賞を受賞し、「死ぬまで裸のセルフィー(Naked selfies til I die)」とスピーチしたキム・カーダシアン・ウェスト Mike Segar-REUTERS

 大胆なヌード写真で知られる「インスタグラムの女王」キム・カーダシアン・ウェストを、イランの革命防衛隊がイラン女性を堕落させるスパイだと非難している。頭髪が見える写真を投稿しただけで逮捕するお国柄。国境を超えるインスタグラムで「ヌード・金満」攻勢をかけてくるカーダシアンを本気で嫌っているようだ。

 アメリカのモデルで女優、リアリティー番組のスターとして有名なキム・カーダシアン・ウェスト(35)は、イランの革命防衛隊から敵視されている。インスタグラムに挑発的な――ときに素っ裸の――セルフィー(自撮り写真)を投稿してイランの若者や女性たちを堕落させている、というのだ。

 そんなカーダシアンは5月16日、優れたウェブサイトやオンライン映画、ウェブキャンペーンなどに贈られる権威あるウェビー賞の授賞式で、こう宣言した。「死ぬまで裸のセルフィー(Naked selfies til I die)」

 ニューヨークで開かれた2016年ウェビー賞の授賞式で、カーダシアンは「オンラインでの類い稀な成功や、インターネット、ソーシャルメディア、アプリ、ビデオ等を駆使してグローバルなファンたちとつながった大胆でクリエイティブな手法」を認められ、Break the Internet(ネットで人気急上昇)賞を受賞した。

 カーダシアンは写真共有SNSの「インスタグラム」で約7000万人のフォロワーがおり、彼女がウェディングドレス姿で夫の歌手カニエ・ウェストとキスをしている写真(下)は一時期、インスタグラム史上、最多「いいね!」数の写真となった(記事執筆時点で約250万のいいね!)。

??

Kim Kardashian Westさん(@kimkardashian)が投稿した写真 -


 今年で20回目となるウェビー賞では、各賞の受賞者のスピーチに5文字しか認めない。カーダシアンの「Naked selfies til I die」はその制限を最大限に活用したと言えるだろう。

イラン革命防衛隊が「堕落させるスパイ」と非難

 カーダシアンは3月にもネットを騒がせたが、原因はインスタグラムに投稿したフルヌードのセルフィーだった(画像を加工し、大事なところだけは黒い線で隠しているが)。約170万の「いいね!」を獲得し、刺激を受けた何人もの女性セレブが、次々と同じようなヌード・セルフィーを投稿した。

 押し寄せた批判に対し、カーダシアンは国際女性デーである3月8日に自らのウェブサイトで声明を発表。「私は欠点も含めた自分自身を世界中に見せることで力を得ているし、他人に何を言われようと恐れたりはしない。このプラットフォームを使えば、世界中の女の子や女性たちも同じように力を得られるんだと知らせたい」と、力強く反論した。

 これからもヌードのセルフィーを投稿していくという授賞式での宣言は、カーダシアンがインスタグラムの「秘密諜報員」だというイラン保守派による非難の最中に飛び出したもの。プライベートヘリ大量の化粧道具、そして自分の体――イスラム国家の保守的な価値観と相容れない欧米の金満ライフスタイルを見せつけることで、イランの若者や女性を堕落させる使命を遂行しているというのである。

【参考記事】「酸攻撃」多発でばれたイラン大統領の素顔
【参考記事】服装の悲劇に泣いたイランのなでしこ

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:トランプ氏なら強制送還急拡大か、AI技術

ビジネス

アングル:ノンアル市場で「金メダル」、コロナビール

ビジネス

為替に関する既存のコミットメントを再確認=G20で

ビジネス

米国株式市場=上昇、大型ハイテク株に買い戻し 利下
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ暗殺未遂
特集:トランプ暗殺未遂
2024年7月30日号(7/23発売)

前アメリカ大統領をかすめた銃弾が11月の大統領選挙と次の世界秩序に与えた衝撃

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「習慣化の鬼」の朝日新聞記者が独学を続けられる理由【勉強法】
  • 2
    BTS・BLACKPINK不在でK-POPは冬の時代へ? アルバム販売が失速、株価半落の大手事務所も
  • 3
    【夏休み】お金を使わないのに、時間をつぶせる! 子どもの楽しい遊びアイデア5選
  • 4
    キャサリン妃の「目が泳ぐ」...ジル・バイデン大統領…
  • 5
    地球上の点で発生したCO2が、束になり成長して気象に…
  • 6
    カマラ・ハリスがトランプにとって手ごわい敵である5…
  • 7
    トランプ再選で円高は進むか?
  • 8
    拡散中のハリス副大統領「ぎこちないスピーチ映像」…
  • 9
    中国の「オーバーツーリズム」は桁違い...「万里の長…
  • 10
    「轟く爆音」と立ち上る黒煙...ロシア大規模製油所に…
  • 1
    正式指名されたトランプでも...カメラが捉えた妻メラニアにキス「避けられる」瞬間 直前には手を取り合う姿も
  • 2
    すぐ消えると思ってた...「遊び」で子供にタトゥーを入れてしまった母親の後悔 「息子は毎晩お風呂で...」
  • 3
    月に置き去りにされた数千匹の最強生物「クマムシ」、今も生きている可能性
  • 4
    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…
  • 5
    「習慣化の鬼」の朝日新聞記者が独学を続けられる理…
  • 6
    【夏休み】お金を使わないのに、時間をつぶせる! 子…
  • 7
    ブータン国王一家のモンゴル休暇が「私服姿で珍しい…
  • 8
    「失った戦車は3000台超」ロシアの戦車枯渇、旧ソ連…
  • 9
    「宇宙で最もひどい場所」はここ
  • 10
    ウクライナ南部ヘルソン、「ロシア軍陣地」を襲った…
  • 1
    中国を捨てる富裕層が世界一で過去最多、3位はインド、意外な2位は?
  • 2
    ウクライナ南部ヘルソン、「ロシア軍陣地」を襲った猛烈な「森林火災」の炎...逃げ惑う兵士たちの映像
  • 3
    ウクライナ水上ドローン、ロシア国内の「黒海艦隊」基地に突撃...猛烈な「迎撃」受ける緊迫「海戦」映像
  • 4
    ブータン国王一家のモンゴル休暇が「私服姿で珍しい…
  • 5
    正式指名されたトランプでも...カメラが捉えた妻メラ…
  • 6
    韓国が「佐渡の金山」の世界遺産登録に騒がない訳
  • 7
    すぐ消えると思ってた...「遊び」で子供にタトゥーを…
  • 8
    月に置き去りにされた数千匹の最強生物「クマムシ」…
  • 9
    メーガン妃が「王妃」として描かれる...波紋を呼ぶ「…
  • 10
    「どちらが王妃?」...カミラ王妃の妹が「そっくり過…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中