最新記事

野生動物

角を切られ、30回手術を受けたサイが野生に戻される

2022年1月26日(水)18時30分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
サイ

サイの角には、成功や富のシンボルとしての需要もある(写真はイメージです) Yuri_Arcurs-iStock

<密猟に遭い、涙を流したサイが南アフリカの保護区に放された>

24日、かつて密猟者に角を切り取られたサイが南アフリカで野生に戻された。

シハと呼ばれるこのミナミシロサイは、2016年に起きた密猟事件に巻き込まれた。犠牲になった5頭のうち、唯一生き残った雄だ。このときの怪我のために、その後30回もの手術を受けることとなる。

事件後に公開された涙を流すシハの写真を見て、世界中の動物を愛する人々から怒りが噴出した。

シハを引き取ったのは、密猟に遭って生き残った動物を保護する慈善団体「セービング・ザ・サバイバーズ」だ。ディレクターのトリスタン・ウッドは「密猟は、麻薬や銃などの違法取引と何も変わらない」と述べる。

サイの角の用途は伝統的な漢方薬だけでなく、成功や富を示すステータスシンボルとして飾られることもある。

南アフリカでは、国外からやってきた出稼ぎ労働者がパンデミックの影響で働くことができなくなっている。家族に仕送りできなくなった結果、多くの人が密猟へと流れる傾向にあるという。

「家族が1日1ドルで生活しているような密猟者にとって、支払われる1000ドルや2000ドルは人生を変えるほどの大金だ」

6年間にわたる大がかりな手術とケアを受け、シハはマラタバ保護区に放たれた。ウッドによれば、保護区にいることで再び密猟に遭わないように観察を続けられ、必要に応じて傷の手当てをすることもできるという。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ECB、大きな衝撃なければ近く利下げ 物価予想通り

ワールド

プーチン氏がイラン大統領と電話会談、全ての当事者に

ビジネス

英利下げ視野も時期は明言できず=中銀次期副総裁

ビジネス

モルガンS、第1四半期利益が予想上回る 投資銀行業
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 2

    大半がクリミアから撤退か...衛星写真が示す、ロシア黒海艦隊「主力不在」の実態

  • 3

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無能の専門家」の面々

  • 4

    韓国の春に思うこと、セウォル号事故から10年

  • 5

    中国もトルコもUAEも......米経済制裁の効果で世界が…

  • 6

    【地図】【戦況解説】ウクライナ防衛の背骨を成し、…

  • 7

    訪中のショルツ独首相が語った「中国車への注文」

  • 8

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 9

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 10

    「アイアンドーム」では足りなかった。イスラエルの…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 3

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...当局が撮影していた、犬の「尋常ではない」様子

  • 4

    ロシアの隣りの強権国家までがロシア離れ、「ウクラ…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    NewJeans、ILLIT、LE SSERAFIM...... K-POPガールズグ…

  • 7

    ドネツク州でロシアが過去最大の「戦車攻撃」を実施…

  • 8

    「もしカップメンだけで生活したら...」生物学者と料…

  • 9

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 10

    猫がニシキヘビに「食べられかけている」悪夢の光景.…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 7

    巨匠コンビによる「戦争観が古すぎる」ドラマ『マス…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中