最新記事

インド

オンライン授業を受けようと電波を探して...インドの村で少年が滑落死

Indian Boy Dies After Falling off Cliff Trying to Find Signal to Attend Online School

2021年8月20日(金)18時00分
サラ・サントラ
青空教室(インド)

ネット環境がなくオンライン授業を受けられない子供たちのために青空教室を開くインドの大学生 ADNAN ABIDI-REUTERS

<コロナ禍で学校にいけない子供たち。インドではリモート環境の整わない遠隔地で悲劇的な事故に子供が巻き込まれてしまった>

コロナ禍に見舞われているインドで8月17日、オンライン授業を受けようとしていた少年が電波を求めて登った丘から転落して死亡する痛ましい事故が起きた。タイムズ・オブ・インディア紙によれば、少年はモバイルネットワークの電波を探して住んでいる村近くにある丘に登ったものの何らかの理由で滑落し、現地時間の17日夜に死亡したという。

インド東部オリッサ州のパンドラギューダ村に住む13歳のアディラ・ガガランガは、同州カタック市にあるミッションスクールの生徒だった。だが最近は、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて自宅で授業を受けていたと、インディアTVニュースは報じている。

アディラが住んでいた村にはモバイル通信が届かないため、彼はオンライン授業を受けるときにはネットワークに接続できる場所を探して、近くにある小さな丘に頻繁に登っていたと、父親は語っている。しかし悲しいことに、アディラは何らかのきっかけで足を滑らせ、落下してしまった。

「私たちの村にはモバイルネットワークが届いていないので、息子は丘に登って接続し、オンライン授業を受けていた」と、父親のナラハリ・ガガランダはタイムズ・オブ・インディアに語った。「17日の午後も、息子は授業を受けようと丘に行った。そして授業中に、座っていた岩が突然転がった」

「転院の前に息を引き取ってしまった」

アディラは、パッドマプールの病院に搬送され治療を受けた。だが「息子は落下し、右脚を岩に押しつぶされた」と父親は言う。

「息子は、頭と脚、胸に怪我をしていた。医師からは、ブラフマプルにあるMKCG医科大学病院への転院を勧められた」と父親は話す。「しかし息子は、転院できる前に息を引き取ってしまった」

父親は、息子の事故原因は岩だと主張している。一方、インディアTVニュースは、アディラがバランスを崩した原因は大雨だったと報じている。タイムズ・オブ・インディア紙によれば、その地域一帯では、55の村でモバイルネットワークが整備されていないという。

インドではこのところ、新型コロナウイルスが猛威を振るっている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イランの核兵器保有決して容認せず、「最も破壊的な勢

ビジネス

トランプ氏、利下げ再要求 実質的に全ての物価が下落

ワールド

中国・ブラジル首脳、自由貿易重視で一致 北京で会談

ワールド

トランプ氏、対シリア制裁解除と表明 暫定大統領と1
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:2029年 火星の旅
特集:2029年 火星の旅
2025年5月20日号(5/13発売)

トランプが「2029年の火星に到着」を宣言。アメリカが「赤い惑星」に自給自足型の都市を築く日

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    ゴルフ場の近隣住民に「パーキンソン病」多発...原因は農薬と地下水か?【最新研究】
  • 3
    母「iPhone買ったの!」→娘が見た「違和感の正体」にネット騒然
  • 4
    カヤック中の女性がワニに襲われ死亡...現場動画に映…
  • 5
    あなたの下駄箱にも? 「高額転売」されている「一見…
  • 6
    「がっかり」「私なら別れる」...マラソン大会で恋人…
  • 7
    トランプ「薬価引き下げ」大統領令でも、なぜか製薬…
  • 8
    トランプは勝ったつもりでいるが...米ウ鉱物資源協定…
  • 9
    「奇妙すぎる」「何のため?」ミステリーサークルに…
  • 10
    「出直し」韓国大統領選で、与党の候補者選びが大分…
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 3
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 4
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 5
    ゴルフ場の近隣住民に「パーキンソン病」多発...原因…
  • 6
    カヤック中の女性がワニに襲われ死亡...現場動画に映…
  • 7
    シャーロット王女の「親指グッ」が話題に...弟ルイ王…
  • 8
    母「iPhone買ったの!」→娘が見た「違和感の正体」に…
  • 9
    ロシア機「Su-30」が一瞬で塵に...海上ドローンで戦…
  • 10
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 5
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 6
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 7
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 8
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 9
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 10
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中