最新記事

フランス

罰金は5万ドル、飲食店の「衛生パス」導入で美食の国フランスが終わる?

France Considering Fining Businesses Over $53K for COVID Violations

2021年7月16日(金)17時32分
マギー・ジャイル

エマニュエル・マクロン仏大統領は7月12日にテレビ演説を行い、衛生パスを導入するしか手段はないと訴えた。全土で感染者数が再び増加しているなかで、医療機関が再び逼迫し、再度のロックダウンという、より強硬な措置を回避するためには唯一の方法だというのだ。

コロナを巡るルールが目まぐるしく変わるため、飲食店経営者たちは、その内容を把握するのに四苦八苦している。「ル・ブラン・ピュブリック」のルマユーの話では、街にいる警官に尋ねても、最新ルールを知らないことがあるという。

ルマユーは新しいルールに従うつもりだが、新たなコストが生じたり、利益が削られたりする可能性を危惧している。彼はAP通信に対し、「ルール対応専門の従業員がフルタイムで1人必要になりそうだ。警備員も1人配置して、入店拒否に怒る客に対応させなければならない」と語った。「私たちは板挟みになってしまう」

レストラン経営者の多くは、コロナ対策の必要性に理解を示しており、ロックダウンのような、より強硬な措置は避けたいと考えている。

パリでも最古のレストランのひとつであり、エッフェル塔近くにある「ラ・フォンテーヌ・ド・マルス」のオーナー、クリスティーヌ・ブードンは、「私は積極的なワクチン推進派だ。衛生パスはいい考えだし、完全に合理的な方法だと思う。フランスには(コロナの)ほかにも、義務化されているワクチンがある」と話す。

「とはいえ、人々にルールを守らせる役割を私たちが果たすとなると、重荷かもしれない。来店した客の衛生パスを確認するなんて、まるで警察官のようだ。この仕事ができるのは、うちでもいちばん年長のスタッフだけだろう」
(翻訳:ガリレオ)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米欧石油大手決算、各社で明暗 自社株買いに反映

ビジネス

米政権、再エネ・気候対策・農業を大幅削減 来年度予

ワールド

アングル:トランプ政権の予算削減案で米環境研究に暗

ビジネス

米国債の売却を日米交渉の手段とすることは考えていな
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1位はアメリカ、2位は意外にも
  • 2
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 3
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得る? JAXA宇宙研・藤本正樹所長にとことん聞いてみた
  • 4
    シャーロット王女とスペイン・レオノール王女は「どち…
  • 5
    古代の遺跡で「動物と一緒に埋葬」された人骨を発見.…
  • 6
    「2025年7月5日天体衝突説」拡散で意識に変化? JAX…
  • 7
    「すごく変な臭い」「顔がある」道端で発見した「謎…
  • 8
    野球ボールより大きい...中国の病院を訪れた女性、「…
  • 9
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 10
    海に「大量のマイクロプラスチック」が存在すること…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得る? JAXA宇宙研・藤本正樹所長にとことん聞いてみた
  • 3
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1位はアメリカ、2位は意外にも
  • 4
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 5
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 6
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 7
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 8
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 9
    古代の遺跡で「動物と一緒に埋葬」された人骨を発見.…
  • 10
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中