最新記事

軍事

英「クイーン・エリザベス」空母打撃群がインド太平洋に、米駆逐艦が合流、日本にも寄港

U.S. Warship to Join U.K. Fleet in Indo-Pacific amid China, Russia Tensions

2021年4月27日(火)18時43分
ジェームズ・ウォーカー
処女航海前の英空母クイーン・エリザベス(2017)

英政府は4月26日に空母「クイーン・エリザベス」を中心とする空母打撃群を東アジアに展開すると発表 REUTERS/Russell Cheyne

<米中、米露の緊張が高まるなか黒海やアジアでの任務参加に込めた警告のメッセージ>

米中、米露の緊張が高まるなか、5月にイギリスが最新鋭空母「クイーン・エリザベス」を中心とする空母打撃群をインド太平洋に派遣する。米海軍の駆逐艦が随伴を予定している。

英国防省は4月26日、「クイーン・エリザベス」率いる空母打撃群が5月にインド、日本、韓国やシンガポールを訪れると発表。米ミサイル駆逐艦「ザ・サリバンズ」がこれに参加することを明らかにした。アーリーバーク級の同駆逐艦は、空母打撃群に防空能力や対潜水艦能力を提供することになる。

英空母打撃群の一部は、黒海での任務の中でNATOの支援も行う予定だ。2014年にロシアがクリミアを併合して以降、黒海では対立するロシアとウクライナの間で一触即発の状況が続いている。

イギリスのベン・ウォレス国防相は26日に、次のような声明を発表した。「来月出航する空母打撃群はグローバル・ブリテンの旗を掲げ、我が国の影響力と力を示し、友好国と協調し、今日そして未来の安全保障上の課題に立ち向かう我々のコミットメントを改めて確認するものとなる」

台湾海峡は避ける見通し

空母打撃群は6カ月以上に及ぶ任務のなかで、40超の国を訪れる予定だ。一部のユニットは防空演習や日本の自衛隊も含む共同演習など70を超える作戦にも携わる見通しだ。

また一部ユニットは黒海でNATOの支援を行うが、英海軍は台湾海峡の航行は避ける見通しだと英デイリー・メール紙は報じた。4月7日には米海軍の駆逐艦が台湾海峡を通過し、中国がこれを非難。人民解放軍の報道官が当時、米駆逐艦の通過は台湾に「誤ったシグナル」を送り、地域の平和を危険にさらすという談話を発表していた。

米海軍は2020年10月のプレスリリースの中で、米駆逐艦ザ・サリバンズの配備が可能になったのはイギリスとアメリカの間に「特別な関係」があるからだと述べ、その高い能力について敵対勢力に警告を発信。米海兵隊のサイモン・ドラン大佐は当時、次のように述べていた。「2021年春の配備に向けた準備として、我々は多国間共同演習『ジョイント・ウォーリア』を展開している。敵対勢力は米駆逐艦ザ・サリバンズが空母打撃群にもたらす能力にうんざりするはずだ」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ハセット氏のFRB議長候補指名、トランプ氏周辺から

ビジネス

FRBミラン理事「物価は再び安定」、現行インフレは

ワールド

ゼレンスキー氏と米特使の会談、2日目終了 和平交渉

ビジネス

中国万科、償還延期拒否で18日に再び債権者会合 猶
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジアの宝石」の終焉
  • 3
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の展望。本当にトンネルは抜けたのか?
  • 4
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 5
    「なぜ便器に?」62歳の女性が真夜中のトイレで見つ…
  • 6
    トランプが日中の「喧嘩」に口を挟まないもっともな…
  • 7
    極限の筋力をつくる2つの技術とは?...真の力は「前…
  • 8
    世界の武器ビジネスが過去最高に、日本は増・中国減─…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    アダルトコンテンツ制作の疑い...英女性がインドネシ…
  • 1
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 2
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 5
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 6
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 7
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 8
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 9
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 10
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中