最新記事

独占インタビュー

【Newsweek独占】訪米中の菅首相が単独取材で答えた「日米関係」「中国問題」「東京五輪の行方」

Exclusive: Japanese Prime Minister Yoshihide Suga, Biden's First Foreign Visitor, on the Challenge of China

2021年4月19日(月)18時35分
ビル・パウエル(本誌ワシントン特派員)

日本政府は今後も休業を余儀なくされた事業主向けの融資支援や、子育て家庭を含めた低所得層への支援を続けていく。さらに、今月12日から高齢者対象のワクチン接種を開始した。ワクチンは、一連の対策の有効性を左右すると考えている。

こうした状況の下、日本は多国間の枠組みを極めて重視している。例えば、包括的かつ先進的TPP協定(CPTPP、いわゆるTPP11)や、20カ国以上が参加する日欧EPA(経済連携協定)だ。

日本は世界のさまざまな地域で、これらの多国間経済パートナーシップを積極的に進めている。同時に、アメリカ、イギリスとの2国間関係を重視している。

日本が新型コロナ後の世界で主導的役割を担い続けるべく、「グリーン」と「デジタル」を両輪とする改革を進めて産業を変革し、投資を促進し、雇用増加を実現する。

これに関連して、2050年までにカーボン・ニュートラルを実現するという非常に野心的な目標を掲げた。誰に助言を求めることなく、わが国の首相として私自身が下した決断だ。

こうした目標の下、基金創設のために今年度の補正予算で2兆円を計上した。

投資促進やイノベーションの加速に向けて、税制改革や規制改革なども実施していく。一部の予測によれば、これによって2050年までに年額190兆円の経済効果が見込まれる。同時に、1500万人の雇用が創出される。

日本の強みは民間部門にあると考えている。国内民間企業が保有する現金・預金残高は推計でおよそ242兆円だ。内部留保も含めれば、総額410兆円の資金があるとの推計もある。

さらに家計の金融資産残高は推計1950兆円に上り、復活の勢いと経済成長に向けた戦略につなげることができるのではないか。

加えて、環境関連分野の投資資金は3000兆円規模と言われており、これを日本に呼び込みたい。

「パンデミックでも五輪開催で世界に勇気を」

――東京オリンピックの開幕予定日まで100日を切った。準備状況はどうか。予定どおりに開催されるという自信は?

先月、IOC(国際オリンピック委員会)の(トーマス・)バッハ会長、IPC(国際パラリンピック委員会)、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会、東京都、私が代表である日本政府の5者会談が行われ、必要な(新型コロナ)対策を完全な形で実施するために、海外からの一般観客の受け入れを断念すると決定された。

この決定に基づいて、感染予防措置などの準備が進んでいる。だがパンデミックの中であっても、安全で安心できる大会を実現し、世界各地の人々に日本から希望と勇気を届けたいと心から願っている。

――オリンピック開催がいつまでに確実になる、という期限はあるのか。

開催は既に決まっている。この決断に基づき、準備を進めている。


ニューズウィーク日本版 英語で学ぶ国際ニュース超入門
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年5月6日/13日号(4月30日発売)は「英語で学ぶ 国際ニュース超入門」特集。トランプ2.0/関税大戦争/ウクライナ和平/中国・台湾有事/北朝鮮/韓国新大統領……etc.

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米バークシャーによる株買い増し、「戦略に信任得てい

ビジネス

スイス銀行資本規制、国内銀に不利とは言えずとバーゼ

ワールド

トランプ氏、公共放送・ラジオ資金削減へ大統領令 偏

ワールド

インド製造業PMI、4月改定値は10カ月ぶり高水準
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 5
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 6
    インドとパキスタンの戦力比と核使用の危険度
  • 7
    目を「飛ばす特技」でギネス世界記録に...ウルグアイ…
  • 8
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 9
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 10
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中