最新記事

ロックダウン

ロックダウン情報リークで新型コロナ感染拡大が加速? 英調査

2020年11月16日(月)18時00分
松丸さとみ

11月4日、ロックダウン前にパブに繰り出す人々 REUTERS/Henry Nicholls

<イングランドでの2度目のロックダウンを前に外出し、新型コロナウイルスの感染第2波の拡大を促してしまった可能性がある......>

情報リーク後に感染者増加

ロックダウンでしばらく会えなくなるから家族や友達と会っておこう――イングランドでの2度目のロックダウンを前にこう考えた人が多かったことが、新型コロナウイルスの感染第2波の拡大を促してしまった可能性があるという。英ニュース専門局スカイニュースが、研究者らの話として11月13日に報じた。

新型コロナウイルス感染症の第2波に見舞われているとされるイングランドでは、11月5日から12月2日まで4週間の予定で、外出が規制されるいわゆるロックダウンに入っている(スコットランドおよび北アイルランドもそれぞれのルールおよび期限で外出が規制されているが、ウェールズでは11月9日にロックダウンは終了)。

スカイニュースが報じたのは、インペリアル・カレッジ・ロンドンが市場調査会社イプソス・モリと協同で実施している、国内での新型コロナウイルス感染状況を追跡するプログラムREACT(Real-time Assessment of Community Transmission、地域感染のリアルタイム評価)の調査に基づく研究者らの話だ。

ロックダウン開始の3日前となる11月2日までの日付をカバーした調査では、11月に入って感染者数が急増したことが示されたのだという。

10月上旬から11月上旬で感染者数は倍増

REACTでは、毎月2週間を一つの期間として、無作為に15万人を抽出し、この人たちに自宅で喉と鼻を綿棒で拭いとる形でテストを受けてもらっている。REACTが12日に発表した記事によると、10月16日~11月2日の期間は16万人にテストを受けてもらった。

その結果、感染者数は前回のテストから倍以上に増えており、80人に1人が感染している状況だった。イングランドの人口の1.3%が感染している計算になるという。10月上旬までの期間に行ったテストでは感染の割合は170人に1人で、加重平均した感染率は0.6%だった。10月16日~11月2日の期間をさらに細かく見ると、10月16~25日では加重平均した感染率は1.28%だったが、10月26日~11月2日では1.32%に増加した。

REACTによると、この期間の前半では再生産数(R)が1以上あり感染者数は増加の一方だったが、後半に入っていったん減少に向かい、その後11月に入って急増したという。ただREACTは研究者らの言葉として、この数字が何を意味するのか判断するのは時期尚早としている。

またスカイニュースは、この増加がロックダウンを予期して外出した人たちによるものか否かについて、研究者らは明言できないと伝えている。とはいえ、感染してからテストに陽性として出るまでの日数を考慮すると、11月に入ってからの急増は、10月最後の数日に感染したものである可能性もあるとしている。

REACTディレクターであり研究者のポール・エリオット教授はスカイニュースに対し、「30日の時点で(ロックダウンが行われるという)憶測が高まった」と話し、「判断は難しいタイミングではあるが、何かしらが起こったということだ」と述べた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

焦点:闇に隠れるパイロットの精神疾患、操縦免許剥奪

ビジネス

ソフトバンクG、米デジタルインフラ投資企業「デジタ

ビジネス

ネットフリックスのワーナー買収、ハリウッドの労組が

ワールド

米、B型肝炎ワクチンの出生時接種推奨を撤回 ケネデ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 3
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 6
    「搭乗禁止にすべき」 後ろの席の乗客が行った「あり…
  • 7
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 8
    『羅生門』『七人の侍』『用心棒』――黒澤明はどれだ…
  • 9
    仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、…
  • 10
    ビジネスの成功だけでなく、他者への支援を...パート…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 3
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 6
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 7
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 8
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 9
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 10
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中