最新記事

パンデミック

トランプ選挙集会はコロナ感染を3万人増やし、700人以上を死亡させた=米スタンフォード大分析

2020年11月2日(月)15時50分

米スタンフォード大学の経済学者らは今週末にインターネットに投稿した論文で、トランプ大統領がこれまで開いた選挙集会が新型コロナウイルスの新規感染者を3万人増やし、700人以上を死亡させた公算が大きいとの試算を示した。ペンシルベニア州で10月31日撮影(2020年 ロイター/Tom Brenner)

米スタンフォード大学の経済学者らは今週末にインターネットに投稿した論文で、トランプ大統領がこれまで開いた選挙集会が新型コロナウイルスの新規感染者を3万人増やし、700人以上を死亡させた公算が大きいとの試算を示した。

同大のダグラス・バーンハイム経済学部長が、6月20日から9月22日までの計18回の集会(うち3回は屋内)のデータを分析。統計モデルを用いてこうした推測をしたと明らかにしている。

感染症の専門家は長い間、トランプ氏の集会が感染の大規模拡大を引き起こす「スーパースプレッダー・イベント」ではないかとの疑念を抱いてきた。ただ今のところ、多くの州で確固とした接触追跡ができないこともあり、具体的な影響をうまく読み取ることができていない。

何が懸念されるのか

ここ数カ月、トランプ氏はペンシルベニア、ミネソタ、ウィスコンシンといった既に新型コロナの感染者が増加傾向にあった州で、何十回も集会を開いてきた。

そうしたイベントには毎回、数千人が参加したと推定される。大半は屋外で開催されたとはいえ、映像を見る限り、参加者は非常に密集し、マスクを着用していない人が多く、トランプ氏を迎えて歓呼する際にウイルスを拡散させるリスクを生み出している。

ジョンズ・ホプキンズ・センター・フォー・ヘルス・セキュリティーの感染症専門家アメシュ・アダルジャ氏は、マスクをつけていない大集団がウイルスを広げる公算が大きいと主張するのは「大げさなこじつけ」ではないと指摘。スタンフォード大の論文については、選挙集会から感染が拡大したことを「暗示してくれる」と一定評価しつつ、実際の感染者数の調査に基づくわけでないため、確定的なものではないとの見方を示した。

判明していること

ミネソタ州の公衆衛生当局は、9月と10月にトランプ氏が開いた集会で新型コロナの感染拡大が4件発生し、25人強が感染したと断定した。

ロイターがさらに11州の公衆衛生当局に取材したところ、いずれも集会の接触追跡ができていないと回答したが、ミシガンやウィスコンシンなど一部州は、トランプ氏の集会に出た後、新型コロナ検査で陽性が判明した人がいたと判断している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イラン、IAEAの核施設視察を拒否の可能性 アラグ

ワールド

「トランプ氏の希望に応じる」、FRB議長後任報道巡

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇、トランプ氏の強硬姿勢で安全

ビジネス

米大手22行、深刻な景気後退下でも十分な資本を維持
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本のCEO
特集:世界が尊敬する日本のCEO
2025年7月 1日号(6/24発売)

不屈のIT投資家、観光ニッポンの牽引役、アパレルの覇者......その哲学と発想と行動力で輝く日本の経営者たち

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門家が語る戦略爆撃機の「内側」と「実力」
  • 2
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急所」とは
  • 3
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 4
    富裕層が「流出する国」、中国を抜いた1位は...「金…
  • 5
    韓国が「養子輸出大国だった」という不都合すぎる事…
  • 6
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 7
    ロシア人にとっての「最大の敵国」、意外な1位は? …
  • 8
    伊藤博文を暗殺した安重根が主人公の『ハルビン』は…
  • 9
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 10
    【クイズ】北大で国内初確認か...世界で最も危険な植…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の「緊迫映像」
  • 3
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々と撤退へ
  • 4
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 5
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 6
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 7
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 8
    飛行機内で「最悪の行為」をしている女性客...「あり…
  • 9
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 10
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 4
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 5
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 6
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 7
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 8
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 9
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 10
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中