最新記事

偏見

黒人プラスサイズのヌードを「ポルノ」としてインスタグラムが削除

Instagram Changes Nudity Policy After Deleting Black Plus-Size Model's Photo

2020年10月27日(火)18時05分
ゾーイ・ドレウェット

インスタグラムのアルゴリズムには偏見が組み込まれていた?(写真は2017年にブラジル・サンパウロで行われたプラスサイズのファッションショー) Paulo Whitaker-REUTERS

<キム・カーダシアンのようなスリムな白人セレブなら当たり前のトップレス写真が削除された黒人プラスサイズモデルの告発>

インスタグラムはこのほど、黒人のプラスサイズモデル、ナイオム・ニコラス=ウィリアムズの訴えを受けて、ヌード写真の扱いに関するポリシーを変更した。

ニコラス=ウィリアムズは、インスタグラムのポリシーに「人種的な偏見」があると批判していた。白人セレブのトップレス写真は削除されないのに、自分が「どんな体型も美しい」ことを示すために撮影した同様の写真は削除されたからだ。

問題の写真は、両手で胸を覆ったポーズのトップレス写真。彼女が8月にこの写真を投稿したところ、インスタグラムからポルノ禁止の規定に違反するとされ、即座に削除された。彼女はこれについて、エミリー・ラタコウスキーやカイリー・ジェンナー、キム・カーダシアンのような白人でスリム体型のモデルの「ほぼヌードの」写真は削除されないことを指摘し、自分は黒人でプラスサイズ体型だからという理由で差別されたと主張した。


「アルゴリズムの中に偏見が」

この主張を支持した大勢の人が、「ナイオムを見たい(#IWantToSeeNyome)」のハッシュタグを添えて彼女の写真を再投稿。複数の黒人インフルエンサーや黒人モデルが、自分も同じような経験をしたと名乗り出た。これらの訴えを受けて、インスタグラムと親会社のフェイスブックはヌードに関するポリシーを改定し、「黒人コミュニティーをこれまで以上にサポート」し、「どんな体型の人も公平に扱われるように」すると表明した。

ニコラス=ウィリアムズは本誌に、次のように語った。「プラスサイズ体型がオンライン検閲の対象になることは知っていたが、自分の写真が削除されたのは初めてで、とてもショックだった。削除対象を選ぶアルゴリズムに、偏見が組み込まれていると分かったのだ。その偏見がとりわけ黒人、そして黒人女性に向けられている」

自分の写真が削除された衝撃で、「何を投稿するのも怖くなった」と彼女は語る。「クライアントはインスタグラムへの投稿を見て仕事を依頼してくる。だから頑張ってインスタグラムに自分と自分の体を愛するメッセージを投稿してきたのに、それが削除されるなら私はどうしたらいいのか」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:トランプ氏なら強制送還急拡大か、AI技術

ビジネス

アングル:ノンアル市場で「金メダル」、コロナビール

ビジネス

為替に関する既存のコミットメントを再確認=G20で

ビジネス

米国株式市場=上昇、大型ハイテク株に買い戻し 利下
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ暗殺未遂
特集:トランプ暗殺未遂
2024年7月30日号(7/23発売)

前アメリカ大統領をかすめた銃弾が11月の大統領選挙と次の世界秩序に与えた衝撃

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「習慣化の鬼」の朝日新聞記者が独学を続けられる理由【勉強法】
  • 2
    BTS・BLACKPINK不在でK-POPは冬の時代へ? アルバム販売が失速、株価半落の大手事務所も
  • 3
    【夏休み】お金を使わないのに、時間をつぶせる! 子どもの楽しい遊びアイデア5選
  • 4
    キャサリン妃の「目が泳ぐ」...ジル・バイデン大統領…
  • 5
    地球上の点で発生したCO2が、束になり成長して気象に…
  • 6
    カマラ・ハリスがトランプにとって手ごわい敵である5…
  • 7
    トランプ再選で円高は進むか?
  • 8
    拡散中のハリス副大統領「ぎこちないスピーチ映像」…
  • 9
    中国の「オーバーツーリズム」は桁違い...「万里の長…
  • 10
    「轟く爆音」と立ち上る黒煙...ロシア大規模製油所に…
  • 1
    正式指名されたトランプでも...カメラが捉えた妻メラニアにキス「避けられる」瞬間 直前には手を取り合う姿も
  • 2
    すぐ消えると思ってた...「遊び」で子供にタトゥーを入れてしまった母親の後悔 「息子は毎晩お風呂で...」
  • 3
    月に置き去りにされた数千匹の最強生物「クマムシ」、今も生きている可能性
  • 4
    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…
  • 5
    「習慣化の鬼」の朝日新聞記者が独学を続けられる理…
  • 6
    【夏休み】お金を使わないのに、時間をつぶせる! 子…
  • 7
    ブータン国王一家のモンゴル休暇が「私服姿で珍しい…
  • 8
    「失った戦車は3000台超」ロシアの戦車枯渇、旧ソ連…
  • 9
    「宇宙で最もひどい場所」はここ
  • 10
    ウクライナ南部ヘルソン、「ロシア軍陣地」を襲った…
  • 1
    中国を捨てる富裕層が世界一で過去最多、3位はインド、意外な2位は?
  • 2
    ウクライナ南部ヘルソン、「ロシア軍陣地」を襲った猛烈な「森林火災」の炎...逃げ惑う兵士たちの映像
  • 3
    ウクライナ水上ドローン、ロシア国内の「黒海艦隊」基地に突撃...猛烈な「迎撃」受ける緊迫「海戦」映像
  • 4
    ブータン国王一家のモンゴル休暇が「私服姿で珍しい…
  • 5
    正式指名されたトランプでも...カメラが捉えた妻メラ…
  • 6
    韓国が「佐渡の金山」の世界遺産登録に騒がない訳
  • 7
    すぐ消えると思ってた...「遊び」で子供にタトゥーを…
  • 8
    月に置き去りにされた数千匹の最強生物「クマムシ」…
  • 9
    メーガン妃が「王妃」として描かれる...波紋を呼ぶ「…
  • 10
    「どちらが王妃?」...カミラ王妃の妹が「そっくり過…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中