最新記事

トレーニング

全否定の「囚人筋トレ」が普通の自重筋トレと違う3つの理由

2018年11月5日(月)20時10分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

写真はイメージです。 Satyrenko-iStock.

<ジム通いのみならず、プロテインやステロイドも「すべて不要」と言い切る話題の『プリズナートレーニング』。「著者が元懲役囚」「300ページ超」「(それなのに)初心者でも取り組みやすい」という、異色の筋トレ本だ>

アメリカといえばファストフードばかりで、アメリカ人は太っている人が多い――そんなイメージを持っている人がいるかもしれない。

だが現実には、アメリカ人の体格は二極化していると言える。成人の約40%がボディー・マス・インデックス(BMI)で「肥満」に分類されるほどの「肥満体国」であることは事実だが、経営層やホワイトカラーの間では体を鍛えている人が少なくない。肥満は自己管理ができない証拠とばかりに、採用や出世においてマイナス評価になるとされているのだ。

「デキるビジネスパーソンほど体を鍛える」――そんな「アメリカンスタンダード」が今、日本に到来している。サントリーホールディングスの新浪剛史社長やGMOインターネットの熊谷正寿会長兼社長など、トレーニングしていることを公言する経営者や起業家が増加中だ。

経営層だけではない。「筋トレ」はもはや一大ブーム。スポーツジムが有名人を使ったテレビCMをバンバン流し、NHKで放送された筋トレ番組がネットでバズる。書店に行けば、「筋トレ本」が数多く並んでいる。

ブームの一角を担うのが、いわゆる「自重トレーニング」の広がりだ。器具を使わず、自分の体の重みだけを使って鍛える方法である。筋トレをしたいがジムに通うのはお金が掛かると敬遠する人もいるし、ジムに通っている人も、出張時など道具なしでトレーニングしたい場合がある。そして「自重こそが真の筋トレだ」という信念の人も。

そんな人たちに絶大な人気を集めている本がある。ジム通い、器具を使ったトレーニングのみならず、プロテインからトレーニング用サプリメント、ステロイド(筋肉増強剤)に至るまで、すべて不要だと言い切って全米ベストセラーとなった『Convict Conditioning』だ。

2017年7月に刊行された邦訳版『プリズナートレーニング』(山田雅久訳、CCCメディアハウス)も話題を呼び、版を重ねて現在10刷。アマゾンで200以上のレビューが付いて、平均4.3の高い評価を得ている。

【参考記事】ジム通いもプロテインも不要な「塀の中の筋トレ法」が日本上陸

著者のポール・ウェイドは元懲役囚だ。ヘロイン密売の罪で投獄されて20年以上を刑務所で過ごし、そこで自重トレーニングの師匠――70歳近い元SEALs(米海軍特殊部隊)隊員の終身刑囚だ――に出会った。鋼のような肉体をつくり上げて過酷な獄中生活を生き抜くと、釈放後、自重トレーニングの伝道師に。まさに「塀の中の筋トレ法」である。それだけでも大多数の「筋トレ本」と一線を画している。

その内容も、「筋トレ本」としては異色かもしれない。『プリズナートレーニング』も、その続編となる『プリズナートレーニング 超絶!!グリップ&関節編』(2018年4月刊行、山田雅久訳、CCCメディアハウス)も、共に300ページを超えるボリュームがあり、あらん限りのポール・ウェイド流「筋トレ哲学」が文字でつづられているのだ(もちろん、トレーニングの写真も豊富だが)。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

石破首相「双方の利益になるよう最大限努力」、G7で

ワールド

米中貿易枠組み合意、軍事用レアアース問題が未解決=

ワールド

独仏英、イランに核開発巡る協議を提案 中東の緊張緩

ワールド

イスラエルとイランの応酬続く、トランプ氏「紛争終結
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 7
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 8
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 9
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 10
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中