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全否定の「囚人筋トレ」が普通の自重筋トレと違う3つの理由

2018年11月5日(月)20時10分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

腕立て伏せは、立って壁に手のひらを置くところから

さらには、「塀の中の筋トレ法」というコワモテなイメージと異なり、実は初歩の初歩から解説してくれる点も特徴的である。

例えば、プッシュアップ(腕立て伏せ)だけで10のステップを踏むよう説くが、壁と向かい合わせに立ち、手のひらを壁に置いて行うウォール・プッシュアップ(下写真)など、最初の4ステップは誰もが知る普通の腕立て伏せ(フル・プッシュアップ)より負荷が小さい。筋トレに自信のない初心者でも取り組みやすいのだ。

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プッシュアップのステップ1、ウォール・プッシュアップ(『プリズナートレーニング』73ページ)

1冊目の『プリズナートレーニング』では、解剖学や運動療法に基づき、人体すべての筋肉を働かせる基本動作として、以下の6種目(ウェイドは「ビッグ6」と呼ぶ)について解説している。6つを超えるトレーニングはやり過ぎで、5つ以下だと、体のどこかに未発達の筋肉ができてしまうのだという。

・プッシュアップ(腕立て伏せ)
・スクワット
・プルアップ(懸垂)
・レッグレイズ(脚挙げ)
・ブリッジ
・ハンドスタンド・プッシュアップ(逆立ち腕立て伏せ)

この「ビッグ6」それぞれに10のステップがある。ステップごとに見開き2ページでまとめられ、文字に写真を(時にイラストも)交えて分かりやすく説明されている(下写真参照)。どのような動きが要求されているのか、理解できずに戸惑うことはまずないだろう。

convictbook181105_4.png

スクワットのステップ3、サポーティド・スクワットの解説(『プリズナートレーニング』118~119ページ)

ウェイドによれば、自重トレーニングにおいて重要なのは、毎日何時間もトレーニングすることではなく、適切な筋群を一緒に鍛えたり、トレーニングにかける時間を制御するといった「戦略」を立てることだという。

「基本の動きをマスターし、技術的なバリエーションを見つけ、時間をかけて強度を上げていく」と、原書の出版元ドラゴンドアとのインタビューでウェイドは語っている。「このような方法でトレーニングすれば、短期間でとても強くなり、筋肉も大幅に発達する。また、この方法は関節にも優しい」

そんなウェイドだが、かつては何時間も、繰り返しトレーニングに励んでいた時期もあった。「服役中は完全にオーバーワークだった! 特にアンゴラ(編集部注:ルイジアナ州の刑務所)では、毎日1000回のプッシュアップを繰り返していた」

だが最終的に、それが間違いであることに気付いたという。「自重トレーニングはウェイトを使ったトレーニングと同様であるべきだ。きついトレーニングを短時間行い、次第に強度を上げていくべきなのだ」

「私は自重トレーニングに取り組むアスリートに対して、通常は、まずウォーミングアップを行い、余力が残る程度で2~3セット、とアドバイスしている。これがほとんどの人に適した方法だ」

【参考記事】筋トレは量か強度か 「囚人筋トレ」のポール・ウェイドが全てを語った

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