最新記事

トランプ健康状態

トランプは肺を病んでいる──8秒間の「息切れ」動画が語る多くのこと

Doctors Say Trump Was Not Breathing Normally.

2020年10月8日(木)15時35分
カシュミラ・ガンダー、スー・キム

「この動画では、大統領は横隔膜だけでなく、胸、背中、肩の筋肉を使っている。これは健康な人が激しい運動をしたときか、体調の悪い人によく見られる呼吸だ」

こうした呼吸は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)など、ある種の呼吸器疾患の特徴でもあり、「新型コロナウイルス感染症の急性期の患者、症状が長期化した患者の両方によく見られる特徴であることは間違いない」と、グリースパンは説明する。

テキサス大学保健科学センターのステファニー・レバイン教授は、「その人の通常の呼吸パターンよりも速く荒い呼吸は、新型コロナウイルス感染症の診断と一致する症状と見ていい」と本誌に述べた。

こうした呼吸パターンは新型コロナウイルスに関連した肺炎を疑わせると、レバインは見る。肺にウイルスが入ると、通常は診断後4、5日で肺炎を発症するが、肺のスキャン画像を見ないと確実なことは言えないという。

5日の記者会見でトランプには肺炎の兆候があったのかと聞かれて、主治医のコンリーは標準的な画像診断を行なったが、自分の立場では詳しいことは言えないと答えた。スキャンの結果を意図的に伏せているのかと記者にたたみかけられると、患者のプライバシーを保護する法律の規定で、医療者には守秘義務があるからだと突っぱねた。

認知機能の低下も

翌日に発表された声明でコンリーは、ホワイトハウスに戻った最初の夜、大統領の体調は安定しており、症状は全く出なかったと強調した。血中酸素濃度は95〜97%で正常とみなせるという。

これについて本誌はホワイトハウスにコメントを求めている。

今後も長期にわたってトランプが後遺症に悩まされる可能性はないのか。ボストン医療センターの感染症専門医カサンドラ・ピエールによると、考えられる後遺症としては、息切れ、呼吸器疾患、疲労感、認知機能の低下などがある。

「ただ断っておくが、トランプはまだ回復したわけではない」と、ピエールは釘を刺した。「今も感染しているし、他人に感染させるリスクもある。今後症状がもっとひどくなり、まともに国の舵取りをする能力がさらに低下することも十分あり得る」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

マクロスコープ:インテル出資で孫氏「逆張りの賭け」

ワールド

中国、インドのレアアース需要への対応約束=印関係筋

ワールド

韓国大統領、サムスンなど企業幹部と会談 トランプ氏

ビジネス

日経平均は3日ぶり反落 最高値更新後に利益確定 方
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
2025年8月26日号(8/19発売)

中国の圧力とアメリカの「変心」に危機感。東アジア最大のリスクを考える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 2
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 3
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コロラド州で報告相次ぐ...衝撃的な写真の正体
  • 4
    【クイズ】2028年に完成予定...「世界で最も高いビル…
  • 5
    AIはもう「限界」なのか?――巨額投資の8割が失敗する…
  • 6
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 7
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 8
    「これからはインドだ!」は本当か?日本企業が知っ…
  • 9
    アラスカ首脳会談は「国辱」、トランプはまたプーチ…
  • 10
    広大な駐車場が一面、墓場に...ヨーロッパの山火事、…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 3
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 4
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 5
    「笑い声が止まらん...」証明写真でエイリアン化して…
  • 6
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 7
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 8
    「何これ...」歯医者のX線写真で「鼻」に写り込んだ…
  • 9
    債務者救済かモラルハザードか 韓国50兆ウォン債務…
  • 10
    「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」(東京会場) …
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 9
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 10
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中