最新記事

新型コロナウイルス

新型コロナで追い込まれるアメリカの若者、4人に1人が真剣に「自殺を考えた」

2020年9月17日(木)15時00分
松丸さとみ

新型コロナ流行以来、米国では銃の購入が急増しているのも問題に...... ia_64-iStock

<新型コロナウイルス感染症が、米国人のメンタルヘルスにどのような影響を及ぼしているかについて調べ、若者の4人に1人は過去30日間で真剣に自殺を考えたというショッキングな結果となった...... >

若者の4人に1人は真剣に自殺を考えた

新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)が、米国の若者の心に大きな影を落としている。米疾病対策センター(CDC)がこのほど発表した調査では、若者の4人に1人は過去30日間で真剣に自殺を考えたというショッキングな結果となった。

さらには、銃規制を訴える非営利団体エブリィタウン・フォー・ガン・セイフティが行った調査では、ここ数年の間に銃を使用しての自殺が若者の間で急増していることも明らかになった。新型コロナウイルスの流行以来、米国では銃の購入が急増しており、若者の自殺防止により一層取り組む必要がありそうだ。

CDCの調査は、新型コロナウイルス感染症が、米国人のメンタルヘルスにどのような影響を及ぼしているかについて調べたもの。米国に在住する18歳以上の男女1万人弱を対象に、今年6月24~30日にかけてオンライン調査を実施し、これに応じた5412人の回答を分析した。

米国では3月から外出禁止令が実施されたが、この影響がメンタルの健康面にかなり強く出ていると考えられている。調査に回答した人の40.9%が、メンタル面の悪化や問題行動を自覚していると答えた。これには、不安障害やうつ障害の症状があるといった回答の他、ストレスや不安に対処するために薬物を摂取し始めたり量を増やしたりといったものが含まれる。

さらに、過去30日以内に真剣に自殺を考えたと答えた人の割合は10.7%に達した。若者の世代(18~24歳)だけで見ると、この割合は25.5%と倍以上になった。4人に1人が、5~6月の1カ月間で真剣に自殺を考えたことになる。

青年心理学者のリサ・ダモー博士は米公共ラジオ局ナショナル・パブリック・ラジオ(NPR)に対し、成長段階にある十代の子たちにとっては、定期的に友達と触れ合うことや、家族以外の大人(教師、コーチなど)との関係を維持することが非常に大切だと指摘。パンデミックの措置としての隔離生活からの影響で、こうしたことができなくなってしまった現状を非常に憂慮している、と述べた。

10~14歳の銃での自殺は213%増

エブリィタウン・フォー・ガン・セイフティによると、若者の自殺率は2007年から毎年増えており、現在は記録的な高さになっている。同団体はまた、新型コロナウイルスが引き起こす病気そのものよりも、流行拡大からの影響が若者の生活に深刻な影を落としていると説明する。不安感や孤独感が増し、自殺のリスクを高めているのだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

インフレ低下なら年内利下げ支持=米ミネアポリス連銀

ワールド

日米首脳会談、防衛装備の協力強化やエネルギーなど協

ワールド

ブラジルで小型機墜落しバスに衝突、2人死亡 サンパ

ビジネス

サムスントップ巡る訴訟、検察が最高裁に上告
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:中国経済ピークアウト
特集:中国経済ピークアウト
2025年2月11日号(2/ 4発売)

AIやEVは輝き、バブル崩壊と需要減が影を落とす。中国「14億経済」の現在地と未来図を読む

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 2
    戦場に響き渡る叫び声...「尋問映像」で話題の北朝鮮兵が拘束される衝撃シーン ウクライナ報道機関が公開
  • 3
    Netflixが真面目に宣伝さえすれば...世界一の名作ドラマは是枝監督『阿修羅のごとく』で間違いない
  • 4
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 5
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 6
    老化を防ぐ「食事パターン」とは?...長寿の腸内細菌…
  • 7
    教職不人気で加速する「教員の学力低下」の深刻度
  • 8
    ドイツ経済「景気低迷」は深刻......統一後で初の3年…
  • 9
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 10
    連邦政府職員を「ディープステート」として国民の敵…
  • 1
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 2
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 5
    「体が1日中だるい...」原因は食事にあり? エネルギ…
  • 6
    教職不人気で加速する「教員の学力低下」の深刻度
  • 7
    「靴下を履いて寝る」が実は正しい? 健康で快適な睡…
  • 8
    足の爪に発見した「異変」、実は「癌」だった...怪我…
  • 9
    戦場に響き渡る叫び声...「尋問映像」で話題の北朝鮮…
  • 10
    マイクロプラスチックが「脳の血流」を長期間にわた…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 5
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 6
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀…
  • 7
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 8
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    戦場に「杖をつく兵士」を送り込むロシア軍...負傷兵…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中