ECB、来年に地政学リスク巡る銀行のストレステスト実施へ

欧州中央銀行(ECB)のクラウディア・ブーフ銀行監督委員長は15日、関税や制裁などさまざまなリスクが焦点となる中、来年に地政学的混乱に対する銀行の耐性を審査するテストを実施すると明らかにした。写真は2021年8月、フランクフルトで撮影(2025年 ロイター/Kai Pfaffenbach)
Francesco Canepa Jesús Aguado
[フランクフルト/マドリード 15日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のクラウディア・ブーフ銀行監督委員長は15日、関税や制裁などさまざまなリスクが焦点となる中、来年に地政学的混乱に対する銀行の耐性を審査するテストを実施すると明らかにした。
ECBは以前から、ウクライナやガザでの紛争、トランプ米大統領が仕掛ける貿易戦争を受け、地政学がユーロ圏の銀行にとって最大のリスクの一つだと警告してきた。
通常のストレステスト(健全性審査)では、銀行は複数のシナリオの下でどの程度の資本が減少するかを計算する必要がある。しかし、今回のテストではECBが資本の減少レベルを提示し、それを引き起こす可能性のあるシナリオを考えるよう銀行に指示する。
ブーフ氏は欧州議会で、「2026年のテーマ別ストレステストでは、どのような地政学的リスクシナリオが支払い能力に深刻な影響を与え得るかを評価するよう銀行に求めることで、今年のストレステストをフォローアップする」と述べた。
来年のECBによるテストは銀行による資本ニーズの自己評価プロセスの一環として実施される。
ECBは、欧州銀行監督機構(EBA)によるEU全体の銀行ストレステストが実施されない隔年で、ユーロ圏の銀行に対してテーマ別のストレステストを実施している。直近24年はサイバー攻撃に対する耐性に関する審査だった。
EBAの最新のストレステストの結果は8月上旬に発表される予定で、シナリオには米国の関税が一部含まれている。