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フィリピン連続爆弾テロ実行犯、かつての自爆犯の妻か娘? IS系テロ組織犯行声明との情報も

2020年8月26日(水)18時00分
大塚智彦(PanAsiaNews)

24日に起きた連続爆弾テロは2回とも自爆によるものとの見方が出ている。 PEEWEE C. BACUNO via REUTERS

<1年半ぶりの爆弾テロが発生したフィリピン。犯人は過去のテロ犯とのつながりをもつ者か──>

8月24日にフィリピン南部スールー州ホロ島のホロ市内で発生した2件の連続爆弾テロ事件を捜査している地元警察や陸軍は26日までに死者が16人、負傷者が75人に達したことを明らかにするとともに、現地スールー州全体で厳戒態勢を敷いてテロ実行犯やその背後組織の摘発を進めている。

これまでに中東のイスラム系テロ組織「イスラム国(IS)」に忠誠を誓い、関係が深いとされるフィリピンのイスラムテロ組織「アブ・サヤフ」の関与が濃厚となるなか、IS関連組織が連続爆弾テロの「犯行声明」をネット上に出したとの情報が流れている。

これはネット上でのISなどテロ組織の動向を監視している米国の組織「SITEインテリジェンス」がフィリピンメディアに明らかにしたもので、「フィリピンの兵士や警察官を標的とした爆弾テロ」を称賛した犯行声明をネット上にアップしている、という。

ただ、フィリピン治安当局はこうした情報の存在は知っているものの、犯行声明と爆弾テロの具体的な関連性については確認していない模様だ。

またこれまでの捜査で、24日午後12時57分に発生した2回目の爆発は「フィリピン開発銀行ホロ支店」のある「ゴテックレン・ビル」の前で、上半身が膨れ上がったような不審な服装をした女性が兵士に接近してきた時に自爆したことが確認されている。

さらに現場近くの屋根で吹き飛ばされた女性の頭部が発見、回収されたことで現在この実行犯の女性の身元確認が行われている。

最初の爆発も自爆テロの可能性

26日のフィリピン各紙、テレビなどの報道では、24日午前11時53分に起きた最初の爆発は当初、兵士が乗った陸軍のトラック近くに不審者が駐車したバイクが爆発したといわれていたが、バイクは無関係で1件目も自爆テロの可能性が強くなったと伝えている。

トラックの近くにあった食堂も兼ね備えた食料品店「パラダイス」の内部に爆発でできたと思われるクレーターがあり、そこで犯人が自爆したとの見方が強まっているのだ。

当初「即席爆発装置(IED)」が仕掛けられたとみられていたバイクは、IEDが爆発したにしては原型をとどめていることから爆発によって焼けただけであるとの見方が強まっている。

このため今回の2件の連続爆弾テロは2人の自爆テロ犯による犯行との見方が現時点では強くなっている。

1回目の自爆テロ犯に関しては、爆弾が強力で自爆犯の体がバラバラになっており、性別の判定も難しい状況と地元メディアは伝えているが、一部未確認情報として最初の自爆犯も女性ではないかといわれている。


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