最新記事

日本社会

日本の未婚男性は長生きしないのに、女性は既婚より未婚の方が長生きする不思議

2020年6月10日(水)13時30分
舞田敏彦(教育社会学者)

家庭生活の負荷が女性に偏っているのが現状 kohei-hara/iStock.

<2000年以降、出産や育児などの負担がある既婚女性よりも未婚女性の方が長生きする傾向が続いている>

日本人の平均寿命は男性が81歳、女性が86歳となっている(2016年)。世界有数の長寿国で、アフリカ諸国の「人生50年」とは大きな違いがある。近い将来「人生100年」の社会になるという予測もある。

だが日本人と言っても一様ではなく、様々な生活条件の下で暮らしている人々の集合体だ。都市と農村では生活様式が違い、寿命にも差があるし、経済的に恵まれた人とそうでない人の「いのちの格差」もある。国や自治体はこういう違いに注目し、啓発や支援に取り組む責務を有する。

あまり知られていない要素として配偶関係による差もある。日本では未婚化が進んでいるが、結婚していない未婚男性は長生きしない。2018年中に亡くなった未婚男性は7万3435人で、その年齢分布を取ると<表1>のようになる。

data200610-chart01.jpg

山型のノーマル分布だが、最も多いのは60代後半で、中央値(累積%=50)もこの階級に含まれる。按分比例を使って死亡年齢の中央値を出すと66.3歳だ。平均寿命が80歳を超えていることを考慮すれば、いかにも短い。

有配偶男性の死亡年齢中央値は81.3歳で、未婚男性より15年も長い。標準から外れているのは後者で、未婚男性は早死にすることを強調しないといけない。食生活をはじめとした生活習慣が乱れやすいのが大きいだろう。男性の結婚チャンスは収入と相関するので、低収入・低学歴といった不利な条件の人が未婚者に集積しやすいのかもしれない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:ドローン大量投入に活路、ロシアの攻勢に耐

ビジネス

米国株式市場=S&P・ナスダックほぼ変わらず、トラ

ワールド

トランプ氏、ニューズ・コープやWSJ記者らを提訴 

ビジネス

IMF、世界経済見通し下振れリスク優勢 貿易摩擦が
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは「ゆったり系」がトレンドに
  • 3
    「想像を絶する」現場から救出された164匹のシュナウザーたち
  • 4
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 5
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 6
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 7
    「二次制裁」措置により「ロシアと取引継続なら大打…
  • 8
    「どの面下げて...?」ディズニーランドで遊ぶバンス…
  • 9
    「異常な出生率...」先進国なのになぜ? イスラエル…
  • 10
    アフリカ出身のフランス人歌手「アヤ・ナカムラ」が…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 4
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 5
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    アメリカで「地熱発電革命」が起きている...来年夏に…
  • 8
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 9
    ネグレクトされ再び施設へ戻された14歳のチワワ、最…
  • 10
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 4
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 9
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中