最新記事

日本政治

新型コロナウイルス対応で際立つ小池都知事の存在感 差を付けられた安倍首相

2020年4月14日(火)17時50分

苛立つ知事

休業要請の対象には、小池氏の主張が通る形でパチンコ店が含まれ、理容店やホームセンターは同氏が譲って対象外となった。政府と合意に達した後、小池知事は「(知事の権限は)代表取締役社長かと思っていたら、天の声がいろいろ聞こえてきて、中間管理職になったような感じだ」と不満を口にした。

安倍首相は、外出を避ける必要性を強調し、企業には社員らの在宅勤務導入を呼びかけ、対人接触を80%削減する目標を掲げている。しかし、同時に、政府はコロナ危機前から景気後退の危機に瀕していた日本経済にこれ以上の打撃を与えることを恐れ、広範囲な事業活動停止には二の足を踏む。

人混みは減ったとはいえ、依然として多くの人々が屋外を歩き回っている。政府のデータによると、10日に新宿にいた人の数は、7日の緊急事態宣言が出される前に比べて33%程度の減少にとどまった。

運用会社、ウィズダムツリー・ジャパンのイェスパー・コールCEOは「衛生上の非常事態にあるのか、そうでないのか。もしそうなら、中途半端な措置をとるべきでない」と指摘。「小池氏が際立っているのは、人々が求めているものを提供しているという点だ。つまり、自信あふれる強いリーダーシップを示している」と述べた。

巧みなコミュニケーションスキルを持ち、テレビのニュースキャスターも務めたことがある小池氏は、3月下旬、海外で広がっていた「ロックダウン」という言葉を使い、東京が都市封鎖の危機に直面していると強調。政府が早急に緊急事態宣言をするよう訴えた。

日本で初の女性の防衛相を務め、落選はしたものの、かつては自由民主党の総裁選に名乗りを上げて初の女性党首を目指すなど、小池氏には「初の女性」という枕詞がつく経歴がいくつかある。そんな小池氏も、憲法改正など、保守的な考え方の一部で安倍首相と共通点もある。

両氏は、2020年開催予定だった東京オリンピックについても、新型コロナの状況をみながら延期の判断をぎりぎりまで引き延ばした。

しかし、小池氏と安倍氏には、衝突した過去もある。2016年の東京都知事選。小池氏は、所属していた自民党の方針に反対し、離党して立候補した。その1年後、打倒自民党を掲げ新党「希望の党」を立ち上げた。

7月には都知事選が行われる。自民党は小池氏の再選を阻まない見通しだ。ある自民党の関係者は「彼女が知事として人気があるのは事実だ」と語った。

Linda Sieg

*この記事は英文で13日に配信されました。

[東京 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【関連記事】
・「回復した人の3割が十分な抗体を持たず」と中国の研究結果:新型コロナウイルス
・マスク不足はなぜ起き、どうやって解消すべきなのか
・英米メディアが絶賛、ニュージーランドが新型コロナウイルスを抑え込んでいる理由とは
・気味が悪いくらいそっくり......新型コロナを予言したウイルス映画が語ること


20200421issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年4月21日号(4月14日発売)は「日本人が知らない 休み方・休ませ方」特集。働き方改革は失敗だった? コロナ禍の在宅勤務が突き付ける課題。なぜ日本は休めない病なのか――。ほか「欧州封鎖解除は時期尚早」など新型コロナ関連記事も多数掲載。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

再送-米ミネソタ州での移民取り締まり、停止申し立て

ワールド

移民取り締まり抗議デモ、米連邦政府は原則不介入へ=

ビジネス

アングル:中国「二線都市」が高級ブランドの最前線に

ワールド

焦点:トランプ氏のミサイル防衛構想、1年経ても進展
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市 vs 中国
特集:高市 vs 中国
2026年2月 3日号(1/27発売)

台湾発言に手を緩めない習近平と静観のトランプ。激動の東アジアを生き抜く日本の戦略とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から脱却する道筋
  • 2
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「副産物」で建設業界のあの問題を解決
  • 3
    関節が弱ると人生も鈍る...健康長寿は「自重筋トレ」から生まれる
  • 4
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 5
    「着てない妻」をSNSに...ベッカム長男の豪遊投稿に…
  • 6
    日本はすでに世界第4位の移民受け入れ国...実は開放…
  • 7
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 8
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 9
    日本経済を中国市場から切り離すべきなのか
  • 10
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 3
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界でも過去最大規模
  • 4
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
  • 5
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 6
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 7
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 8
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大…
  • 9
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 10
    秋田県は生徒の学力が全国トップクラスなのに、1キロ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中