最新記事

新型コロナウイルス

日本におけるPCR検査の拒否状況

2020年4月9日(木)16時30分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

取り敢えず、4月7日時点におけるこの一覧表の東京都の欄を見ると、「検査人数」は4,752人とあるが、4月6日は4,422人だったので1日に検査数は330人分増えたことになる。つまり今現在(4月6日から7日の時点で)、東京都の「1日の検査者は330人である」ということになる。そのうちの陽性者は4月6日で1,123人だったが、4月7日では1,203人で1日の陽性者増加分は80人。

このデータは1月15日から4月7日までの数値である。

ということは、さまざまなルートを通して東京都では少なくとも4,757人はPCR検査を受けていることになる。単純平均で東京では1日、わずか58人程度しか検査を受けさせてもらえてないことになるのだ。

あまりに少なすぎる。拒否されていることは事実だろう。

たとえば3月18日のNHKの情報<ウイルス検査「拒否」全国で290件 日本医師会が調査結果公表>によれば、「医師が保健所に検査を依頼しても断られたケースが、26の都道府県で合わせて290件あった」とのこと。やはり医者が検査すべきだとどんなに言っても、保健所が検査をしてくれないというのは今も続いているように思われる。

さらに同報道において日本医師会の釜萢敏(かまやち さとし)常任理事は「地域の体制が十分ではなく、応じられなかったのではないか。公的保険の適用後は検査につながりやすくなったという話もあるが、厚生労働省と改善策を協議したい」と述べておられる。

釜萢氏も検査件数の少なさに関して「地域の体制が十分ではない」と仰っておられるが、まさに4月6日付けコラム<緊急事態宣言と医療崩壊の日中比較:日本を救う道はまだあるのか?>に書いた通り、安倍首相は昨年末まで「地方の病床が13万床も余分にあるので何としても削減せよ!」と厳しく指示していたのだ。中には病院が診療所になり、医療器具も使えなくなった地域もあるという。

病床を減らせということは、こういった病院のスタッフを削減し設備も廃棄してしまえということに等しい。さすがに安倍首相は今では「13万床の過剰ベッドを削減せよ」とは言ってないだろう(と思う)。これに関するその後の動態がなかなかつかめないのだが、今年3月26日付けの中日新聞が<医療危機、イタリアの警鐘 新型コロナ、死者6800人 >という報道の後半部分の<◆日本の公立病院、削減に「待った」 「有事に余裕必要」>という小見出しで以下のように説明している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

英シュローダー、第1四半期は98億ドル流出 中国合

ビジネス

見通し実現なら利上げ、米関税次第でシナリオは変化=

ビジネス

インタビュー:高付加価値なら米関税を克服可能、農水

ビジネス

日銀、政策金利を現状維持:識者はこうみる
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 5
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 6
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 7
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 8
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 9
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 10
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中